オーバートレーニングを避けるコツ
オーバートレーニングは「練習と休養のバランスが崩れ、運動能力が低下すること」だ。重症の場合は回復まで数か月を要する場合もあり、その間に体力はさらに低下してしまうので、なるべく避けたいところだろう。今回は『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』や『SERIOUS CYCLING』を参考に「オーバートレーニングを避けるコツ」を紹介する。
オーバートレーニングの原因
オーバートレーニングは、いわば「練習のしすぎ」といえるが、以下の3つが主な原因と考えられる。
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練習時間が長すぎる
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運動強度が高すぎる
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練習頻度が密すぎる(極端な短期間にあまりに多くの練習量を詰め込みすぎる)
競技志向が高い選手がオーバートレーニングに陥るケースでは、「運動強度が高すぎる」場合が多いとの指摘がある。特にレースに向けて「無酸素運動系」のトレーニングに重点的に取り組んでいる場合はリスクが高くなるので、練習週と回復週のバランスを適宜調整したほうがよいだろう。
オーバートレーニングを避けるコツ
それではオーバートレーニングを避けるためには、具体的にどのようにしたらよいのだろうか。そのためのコツとして、以下が参考になるだろう。
- ハードにトレーニングした日は最低8時間は睡眠を取る。
- 基本栄養素をすべて含んだ栄養バランスのよい食事を摂る。
- しっかりとした基礎を作るために少なくとも8週間は持久力養成の練習に取り組む。
- 「練習頻度」「持続時間」「強度」を急激に上げすぎない。練習量や質を少しずつ段階的に上げていくことで、肉体的にも心理的にも練習負荷の上昇に対応できる。
- 午前と午後に分けて二部連をする場合は、午後の練習前に仮眠する。
- ハード・トレーニングに取り組む日は、他の練習仲間に合わすのではなく、自分の体力・経験レベルに応じた内容にする。
- 「トレーニング負荷に対する自分の反応の傾向」をよく理解したうえで練習に取り組む。「トレーニング負荷に対する自分の反応の傾向」を理解するには、継続的にメンタル・トレーニングの記録をつけ、読み返すとよいだろう。
- 起床時心拍数・体重・睡眠時間と質・体調不良(風邪や病気など)・その日のトレーニング内容などを記録するために練習日誌をつける。
- ある一定期間ごとに回復期間を練習計画に組み込む。これによって本当の意味で身体が強くなっていく。
参考文献
- ジョー・フリール著・児島修訳・『サイクリスト・トレーニング・バイブル』・P385・OVERLANDER株式会社
- Edmund R. Burke, PhD著・『SERIOUS CYCLING Second Edition』・P230・HUMAN KINETICS