VO2maxは全身持久力を表すとても重要な指標
自転車のトレーニングに関する情報を見ていると時々VO2max(ブイ・オーツ―・マックス、正式にはブイドット・オーツ―・マックス)という言葉が書かれています。この言葉もLT(乳酸閾値)と同じように、日常生活ではまず使わないのでピンとこないかと思います。VO2maxは日本語に訳すと「最大酸素摂取量」になります。このVO2maxは、じつは「LT」と同じようにロード・レーサーにとってとても重要な指標です。なにがそんなに重要なのでしょうか?
VO2max
■全身持久力を総合的に見ることができる指標
それはこの数字が高ければ高いほど全身持久力が高いと考えられるからです。
「全身持久力」とひとことでいっても、体の中のさまざまな機能が関わっています。その中でも特に重要なのは「心臓や呼吸機能」「筋肉の酸素消費能力」といったものですが、VO2maxはこういったものを総合的に見ることができる指標なのです。VO2maxが高ければ高いほど、粘り強さやスタミナのレベルが高いと判断できます。
人間は運動するときに、呼吸で取り入れた酸素を全身に送ってエネルギーを生み出します。つまり酸素を「体内に取り込んで」「全身に送って」「使う」能力が高ければ高いほどたくさんのエネルギーを生み出せるわけです。
■VO2maxが高いと使える酸素量が多く、多くのエネルギーを生み出せる
それでは、そもそも「VO2maxとは何か?」を説明しましょう。
VO2maxとは、運動中に呼吸によって体内に取り入れることができる酸素の最大容量を、単位時間あたり(1分間あたり)、単位重量あたり(体重1㎏あたり)、どれだけの量(ml・ミリリットル)の酸素を取り入れることができたかで表したものです。言いかえれば、VO2maxが高ければ高いほど「体重1kgあたりで1分間あたりに使える酸素量が多い=生み出せるエネルギー量が多い=より速く走れる」というわけです。
■一流ロード・レーサーのVO2maxは75m/kg/分
一般トレーニングをしていない人であれば、VO2maxの値は、20歳代の男性の平均で40ml/kg/分程度です。しかし一流のロード・レーサーになると、なんと75ml/kg/分(!!)にもなります。
■VO2maxでの運動強度はロードレースで勝敗を分ける決め手になることが多い
またこのVO2maxでの運動強度はかなりきついのですが、3~8分程度は維持できます。じつはこの強度は、ロードレースで勝負がかかった時に踏ん張れるかどうか、勝敗を分ける決め手になることが多いので、そういった意味でもロード・レーサーにとってはとても重要な指標なのです。