トレーニング・ゾーン別の練習効果(生理的適合)の一覧表
トレーニング効果は、練習強度によってかなり違いがある。「今、自分がいちばん強化する必要がある能力」を理解し、「その能力向上に効果があると考えられるトレーニング・ゾーンに重点的に時間を割く」のが、競技力向上を図るうえで有効な方法のひとつだろう。それでは、それぞれのトレーニング・ゾーンが、どのような練習効果があるかを知るための方法はあるのだろうか。今回は『パワー・トレーニング・バイブル』で紹介されている、トレーニング・ゾーン別の練習効果(生理的適合)の一覧表を紹介する。
トレーニング・ゾーン別の練習効果(生理的適合)の一覧表
以下の表が、コーガン方式のパワー・トレーニング・ゾーン(L1~L7)で期待できるそれぞれの練習効果の一覧表だ。「+」マークが多いほど、各項目における生理的適合(練習効果)が高いことを示している。他の文献では別の見解が示されている項目もあるので、ある程度割り引いて見た方がよいだろうが、おおよその参考にはなるだろう。
補足説明
「血漿量の増大」「筋肉のミトコンドリア増大」「筋肉中の高エネルギーリン酸塩貯蔵量の増大」については、ややわかりにくいかも知れないので、以下で補足説明する。
■血漿量の増大
血漿は血液の50~60%を占める透明で黄色がかった液体部分。全身の細胞に栄養やホルモンなどを運び老廃物を回収する働きを持つ。血漿量が増大すると血液量が増大し、心臓の1回拍出量が増加するのでVO2maxが増加すると考えられる。
■筋肉のミトコンドリア増大
ミトコンドリアは細胞内に存在する器官のこと。ミトコンドリアが多い筋肉ほど有酸素能力にすぐれることがわかっている(LTの向上に役立つと考えられている)。
■筋肉中の高エネルギーリン酸塩貯蔵量の増大
スプリントのような短時間高強度の運動時には短時間で高いエネルギーを放出できるエネルギー源であるアデノシン三リン酸とクレアチンリン酸が主に使われる。これらの筋肉中の貯蔵量が多いほど、短時間高強度で活用できるエネルギー量が増えるので、スプリントの時などに有利になると考えられる。
参照URL
- e血液サラサラガイド・『血漿の働きとは』
http://365sarasara.sakura.ne.jp/ketueki5.html - Shinshu University Graduate School of Medicine・『血液量と最大摂取量の関係』
http://sugp.wakasato.jp/Material/Medicine/cai/text/subject03/no1/html/section10.html - スポーツ生理学の基礎知識・『パワートレーニングと有酸素運動』
http://club.pep.ne.jp/~mikami1/sports.htm - SWIM&FITNESS・『乳酸とトレーニング』
http://www1.ocn.ne.jp/~gigi9191/newpage1nyusantotraining.html
参考文献
- ハンター・アレン アンドリュー・コーガン博士共著・『パワー トレーニング バイブル』・P79・OVERLANDER株式会社