『バイシクルトレーニングブック』 BTB Bicycle Training Book

 

本書は「真剣にロードバイクで速くなりたい」と思っている方の役に立つ知識が凝縮された、現段階でいちばんおすすめできる本です。ロードバイクでのトレーニングを本格的に行うあたっての全体感をつかむ上でベスト内容と言えます。

 

テクニックやフォームはもとより、運動生理学・トレーニングの原則・具体的なトレーニングメニュー・トレーニング計画の組み方・パワートレーニングなど押さえておくべきポイントが一通り網羅されています。ページ数は191と比較的コンパクトですが、守備範囲が広い分かなり内容は濃いです。トレーニングをしながらじっくり腰を据えて何度も読み返す価値がある本かと思います。

 

フォームやテクニックについては、高いスキルと知識と実績を持ち合わせた著者(竹谷さん)がしっかりした理論にもとづいて説明されているので、実践的でかつ納得度が高い内容です。テクニックは最終的に個々人の体格や筋肉の付き方やスキルなど総合的を総合的に反映して「これが絶対」というものはありませんが、原理原則を押さえてておけばより自分流にアレンジしやすくなるので、その意味でも参考になると思います。具体的な根拠や事実に裏打ちされた説明が多いので信頼性が高く、実践的な記述も多いので自分で実際に試してみて取捨選択するヒントがたくさん見つけられることでしょう。

 

またロードバイクはLT~スプリントまで幅広いエネルギー系や運動能力を開発しないといけないので、運動生理学やトレーニングの原則を頭に入れおくことで、より自分の重点課題に的を絞った効果的な練習ができるようになりますが、その基礎がコンパクトにしかも充実した内容で収まっているのもすばらしい点です。

 

パワートレーニングについては、基本的な部分について解説がちりばめられています。『パワー トレーニング バイブル』を使って本格的にパワートレーニングをするのであれば、本書を読んでおけばよい予習になります(本書は、『パワー トレーニング バイブル』の原著を参考文献として一部引用しているので、若干内容が重なる個所ががあります)。パワー トレーニング バイブルはかなり高度な内容を含みますので本書の内容を理解した上で、読めばよりすばやく理解が深められると思います。

 

『パワー トレーニング バイブル』と関連が深い部分を以下にピックアップしますので、ご参考下さい。

 

P104:トレーニングの基礎的な考え方
P105~119:鍛えるべき身体の仕組み、運動生理学の基礎を知る
P120~124:トレーニングの原理原則を理解する
P126~127:狙った効果を得るゾーントレーニング
P154~157:トレーニング期の流れなど

 

かなりおすすめです。

 

 

<ご参考情報>
レース志向で真剣にロードバイクの練習をしている方には、弊社より2012年10~11月頃にリリース予定の『サイクリストトレーニングバイブル』も参考になるかと思います。各種雑誌で絶賛され「全てのレベルのサイクリストにとっての宝」とまで評された世界的ベストセラーですのでご期待下さい。

また、以下の3冊は本書と関連した内容が多いので、本書をより多面的に理解したい方にはおすすめです。

 

★★★★★ ★★★★ ★★★★★
◎なるほどとうなずく記事満載。ロードが理論で理解できます。根拠にもとづいてスキル向上やタイム短縮・パフォーマンス向上を狙いたい方に特に向いています。おすすめです。
△テスト事例が限られるので普遍的な内容とは言えません。
◎トレーニングの原則や運動生理学の基礎をわかりやすく学べます。
△広く浅い内容なので、既に知識がある方には物足りないと思います。
◎スポーツに関わる運動能力を向上させるために役立つ運動生理学の知識がひじょうにわかりやすく語られています(内容も充実しています)。
△詳細にわたる学術的な説明はありません。