もっと速くなるためのヒントを国内外の本・雑誌・ブログ・論文などから紹介します。
33ページ中3ページ目このページは、該当ページへ自動的に転送されるよう設定されています。もし自動的に転送されない場合は、 こちらをクリックしてください。
自転車競技のパフォーマンス向上には、エネルギーコストについての理解が役に立つ。
風が横から吹いているときは、横風に対応できる形で2列ローテーションを回さなければなりません。一番難しいパターンです。基本の2列ローテーションで、選手はぐるぐると常に回転していました。横風の2列ローテーションもその点は同じですが、風でドラフトの位置がずれるため並び方が斜めになります。
サドルの角度は、ロードバイクでの走行時の快適性や走行効率に大きく影響する。人によっては、サドルを極端に前傾(前下がり)または後傾(前上がり)させている場合もある。しかし、ホビーレーサーであれば、サドルを水平に保つことが基本になる。もし前下がりや前上がりにしているとすれば、ハンドルバーとの距離や高さなど、そもそもバイク全体のフィットが適切ではない可能性が高い。
遅い列で下がっていくあいだは、前の人に張りつき、ドラフトを最大限に活用すべきです。そして、もうひとつの重要なポイント、2列ローテーションの速い列に戻る瞬間が来ます。集中しましょう。
2列ローテーションの勘所になるのは、先頭に出た瞬間の引きとそこからの横ずれです。ここではタイミングとペースがすべてです。まず、引くのはごく短いあいだになります。前の選手が横にずれた瞬間、加速したくなるかもしれません。絶対にやらないこと。
従来、トップ選手の身体能力を評価する場合には、最大酸素摂取量(VO2max)や乳酸性作業閾値(LT)、エコノミー(省エネ走法の上手さ)といった指標を用いられることが一般的であった。しかし、ナイキの「Breaking2」プロジェクトを分析した研究からは、これらの数値だけではエリートランナーの真の強さを十分に説明できず、むしろ長時間の運動後にこれらの能力がどの程度低下しにくいか、すなわち「疲労抵抗力」が勝負を分けるという知見が示された。
レース前に適切に重い負荷のトレーニングに取り組むことで、ピークパフォーマンスを実現できることはよく知られている。他方、重要レースの日が近いピーク調整のタイミングで、オーバーリーチングの状態にまで追い込む必要はあるのだろうか。今回は、「Functional overreaching: The key to peak performance during the taper?」を参考に、ピークパフォーマンスとオーバーリーチングの関係についての研究を紹介する。
まずはまっすぐな2列ローテーションを見てみましょう。ライダーは縦にずらりと並び、すでに説明したふつうの1列ローテーションによく似ています。違うのは、2列ローテーションでは、先頭に出て風よけがいなくなった瞬間、横にずれ、最後尾に向けて下がっていく点です。
時間効率のよいトレーニング手法として、注目度の高い高強度インターバルトレーニング(HIIT)だが、今回は、短期間のHIITプログラムが心肺機能や筋力に与える影響を検証したAstorinoら(2012)の研究について紹介する。
パワーデータ分析によって、ロードスプリンターとして成功するために必要な条件が徐々に明らかになりつつある。Van Erpら(2020)の研究では、2012年から2019年の間に収集されたプロ選手のパワーデータを基に、1シーズンあたり400ポイント以上のProCyclingStats(PCS)ポイントを獲得したスプリンターを“CAT.1(成功)”、400ポイント未満のスプリンターを“CAT.2(やや成功度が低い)”と分類した。そのうえで、選手たちの10秒間の最大平均パワー(MMP:Maximal Mean Power)が、どの程度の「累積仕事量(kJ/kg)」の後でも維持できるかを比較した研究について紹介する。
高強度インターバルトレーニング(HIIT)は、短時間で心肺機能や筋力を効率的に向上させるトレーニングメソッドであり、さまざまなスポーツ現場で活用されている。本記事では、Buchheit & Laursen(2020)の研究を基にしたHIITの5つのフォーマットについて紹介する。
競技力向上を目指すアスリートにとって、体調不良は避けて通れない課題である。国際大会では登録選手の6~17%が体調不良を経験すると報告されており、特に女性アスリートやパラリンピック選手の罹患率が高い傾向にある。夏季大会よりも冬季大会で体調不良が増加する背景には、寒冷や乾燥、環境変化といった要因が挙げられる。
自転車競技には、10秒程度で完結する200mスプリントから、約5,000kmを23日間で走破するツール・ド・フランスのような超長距離レースまで、多様な種目が存在する。これらの種目では、短時間で強大なパワーを発揮する能力から、長時間にわたる持久力まで、幅広い身体能力が必要となる。本記事では、自転車競技における身体的条件やエネルギー供給機構などについて紹介する。
心臓は、定期的かつ適切なトレーニングによって最も顕著な変化を遂げる臓器の一つといえる。トレーニング積むことで、心筋繊維の数が増加し、毛細血管の発達や血流量が増えるため、心臓自体が非常に効率的な「ポンプ」へと変化していく。これを一般的に「スポーツ心臓」と呼び、未経験・非トレーニング時の心臓よりも高いパフォーマンスを発揮できるのが大きな特徴となる。
タイムトライアルでは、戦略的なペーシングが成績を大きく左右する。本記事では、「Optimal pacing in road cycling using a nonlinear power constraint」を参考に、勾配が変化する条件下での最適なペーシング戦略について、従来の「一定パワー(CP)」戦略と比較し、指数加重平均(EWA)パワー制約を適用した「最適ペーシング(OP)」戦略について紹介する。
ロードバイクでのトレーニングを継続すると、脚の筋肉にはさまざまな変化が生じる。本記事では、トレーニングにより筋肉とそれに関連した体の組織がどのように変化するのかを紹介する。
VO2max(最大酸素摂取量)は、有酸素運動の上限であり、持久系競技では重要な指標となる。「ml/㎏/分」を単位とするVO2maxの値は、ラボ(研究施設)等での体力テストやサイクルコンピューター等のデバイスで確認することが可能だ。パワー・トレーニングではVO2maxパワー(約5分間維持できる最高のパワー)がトレーニング強度を計算する基準として使用されるケースもあるが、同パワーの計測テストは肉体的な苦痛を伴うため敬遠されることが多い。そこで、本記事では、ml/㎏/分を単位とするVO2maxの値から、VO2maxパワー(単位:W)をかんたんに推定する方法を紹介する。
VO2max(最大酸素摂取量)は、有酸素運動の上限であり、持久系競技では重要な指標となる。パワー・トレーニングではVO2maxパワー(約5分間維持できる最高のパワー)がトレーニング強度を計算する基準として使用されるケースもあるが、本記事では、そのVO2maxパワーの値から、一般的によく使用される単位である「ml/㎏/分」ベースの値をかんたんに推定する方法を紹介する。
高強度インターバルトレーニング(HIIT)は持久的パフォーマンス向上に高い効果を示すことが知られている。今回は、ランナーを対象にした研究である「Manipulating high-intensity interval training: Effects on VO2max, the lactate threshold and 3000 m running performance in moderately trained males.」を参考に、HIITの異なるプロトコルと長時間の低強度トレーニングがランニングパフォーマンスや乳酸閾値(LT)へ及ぼす効果について紹介する。
エシュロンとも呼ばれる2列ローテーションは一番複雑な形のローテーションです。ふつうは、ある程度引いてから先頭交代するわけですが、2列ローテーションでは、先頭に出ても動きが止まりません。先頭に出た瞬間に交代が始まるのです。その結果、全員がぐるぐると回転するように動きつづけることになります。全員で円を作って回っている感じです(図2.6)。回る向きは、風に応じて時計回りだったり反時計回りだったりします。2列のうち、前に上がっていくほうを速い列、後ろに下がっていくほうを遅い列と呼ぶことにしましょう。2列ローテーションをしている間、位置は変わりつづけます。とても難しいローテーションですが、できるようになるととても楽しいやり方でもあります。
オフシーズンは来シーズンに向けてパフォーマンスを高めるための重要な土台づくり期間だ。シーズン中に高負荷のトレーニングを続けた身体とメンタルをリセットし、次の目標に向けて計画を立てる最適なタイミングといえる。本記事では、ホビーレーサーが来シーズンに備えるための、実用的な5つのステップを紹介する。
本記事ではプロ選手との体組成比較ツールを紹介する。以下で、選手名を選択し、入力欄に自分の身長・体重・体脂肪率を入力すると、選手との比較値と、同身長換算値※との比較値が確認できる(体組成を精緻に比較するには体脂肪率・筋肉量・骨重量等の正確なデータが必要になるのであくまで参考値)。
サイクルロードレーサーにとって、トレーニングの質と量はパフォーマンス向上の鍵となる。しかし、過剰なトレーニングが身体に悪影響を及ぼすこともある。本記事では、過剰な高強度インターバルトレーニング(HIIT)がミトコンドリア機能や糖代謝に及ぼす悪影響についての研究「Excessive exercise training causes mitochondrial functional impairment and decreases glucose tolerance in healthy volunteers.」について紹介する。
新年の目標を立て、トレーニング計画を練り上げたものの、ものの数週間が過ぎただけでモチベーションが低下してしまうことはよくある。特にホビーレーサーにとって、日々のトレーニングと仕事や家庭との両立は容易ではないだろう。しかし、目標を達成するためには継続的な取り組みが必要である。本記事では、TrainingPeaksのブログを参考に、日常のトレーニングやレース準備においてモチベーションを維持するための実用的な方法を紹介する。
ロードサイクリストにとって、適切なバイクフィットは快適さとパフォーマンスを向上させる重要な要素である。本記事では、『Andy Pruitt's Complete Medical Guide for Cyclists』を参考にバイクフィットの重要な原則について紹介する。
FTPはパワートレーニングゾーンを決定し、効果的にトレーニングやレースで活用するために非常に重要な値といえる。また、VO2maxも有酸素運動能力の上限(エンジンの大きさ)を規定する値として重要視されている。他方、FTPやVO2maxのテストは「苦しいので苦手」という人も多いだろう。今回は、『The Secret of Cycling』を参考に、年齢・体重・心拍数からかんたんにFTPとVO2maxを推定する方法を紹介する。
プロサイクリストを対象とした研究によると、短時間高強度インターバルトレーニング(以下、SI)と長時間高強度インターバルトレーニング(以下、LI)を比較した結果、SIがより優れたトレーニング効果をもたらすことが示された。
トレーニング中や重要なイベントの準備期間中に病気にかかることは、誰にとっても避けたい事態といえる。計画したトレーニングを病気でスキップすることで、目標達成の可能性が大きく損なわれることもある。本記事では、心拍変動(HRV)を利用して、体のストレスに対する反応を把握し、病気を予防する方法について紹介する。
プロ選手のペダリングケイデンスには様々な研究事例があり、ホビーレーサーにも関心の大きなテーマだろう。本記事では、『HIGH-TECH Cycling』を参考に、1999年シーズンのプロサイクリストたちを対象に行われた研究を紹介する。
ヒルクライマーに限らず、多くのロードサイクリストにとって、道路勾配とパワー出力の関係は興味がある話題だろう。本記事では、道路勾配がサイクリストのレコードパワー出力(RPO: Record Power Output)に与える影響について紹介する。
パワートレーニングを行う場合は、自分のFTP(機能作業關關値パワー)を基準にしたトレーニングゾーンで練習することが一般的だ。しかし、FTPの値が不正確な場合、トレーニングが過度に苦しくなったり、逆に明らかにトレーニング負荷が軽すぎるようになってしまう。このため、FTPを実際の状態に合わせて更新するのは重要な作業といえる。本記事では、FTPを更新(再設定)すべきタイミングについて紹介する。
サイクルロードレースにおいて、持久力やスプリント力を向上させるためには、適切なトレーニング戦略を設計することが不可欠である。本記事では、「高強度インターバルトレーニング(HIIT)および中程度強度連続トレーニング(MICT)のVO2peakトレーニング効果比較」(Frontiers in Physiology, 2019)の知見をもとに、トレーニングの設計方法や効果を最大化するためのアプローチについて紹介する。
持久系スポーツ、特にサイクルロードレースでは、トレーニングや競技準備の段階でエネルギー供給量を最適化することが重要である。本記事では、「持久系スポーツにおけるトレーニング・競技準備のための燃料供給量を操作するための食事・運動戦略の共通理解に向けて」(Burke et al., 2018)の研究結果を基に、持久系スポーツにおける炭水化物および脂質の摂取を最適化するための方法について紹介する。
サドル高は、快適な走行や効率的なパワー出力を実現する上で極めて重要な要素である。適切なサドル高を見極めることで、パフォーマンスの向上だけでなく、膝や腰への負担も軽減できる。本記事では、サドル高とパワーの関係や、サドル高の調整方法について紹介する。
FTP(Functional Threshold Power:機能的作業閾値パワー)は、トレーニングやレース戦略を立てる上で重要な指標である。しかし、FTPは実際のところどのくらいの時間維持できるのだろうか?本記事では、Sitkoらによる2022年の研究結果を基に、TTE(Time to Exhaustion:FTPを維持可能な時間)について解説する。
CTL(Chronic Training Load:長期トレーニング負荷)は、アスリートがトレーニング負荷を長期的に評価するための重要な指標である。しかし、この数値に過度に依存し、トレーニング全体をそれに基づいて判断することは、必ずしも効果的ではない。Joe Frielのブログ記事「CTL Concerns」を参考に、CTLをどのように理解し、活用すべきかについて紹介する。
まさかと思うかもしれませんが、ローテーションにも戦術があります。ここまでスムーズにローテーションを回す方法を見てきたわけですが、ほとんどの場合はそれで十分です。ですが、たとえば、チームの違う3~4人と逃げている場合はどうでしょう。第3章では、ほかの選手と協力して逃げを成功させる方法や、ほかの選手をうまく利用する方法なども解説します。ペースを落としたいときもあるでしょう。自分がアタックしたいので、ほかのライダーの足を削りたいときもあるでしょう。それぞれの場合に応じたローテーション戦術があります。
サイクルロードレースにおいて、持久力やスプリント力を高めるためには、日々のトレーニング内容をどのように設計すべきかが重要になる。シリアスレーサーであれば、単に距離を踏むだけでなく、トレーニングの強度・頻度・期間を最適に組み合わせる必要がある。本記事では、「運動トレーニングが人間の骨格筋におけるミトコンドリアおよび毛細血管の成長に及ぼす影響: 系統的レビューとメタ回帰」(Sports Medicine, 2024年)等の知見をもとに、サイクリストの競技力向上に直結する筋レベルでの適応について紹介する。
ロードレースでは、VO2max(最大酸素摂取量)の高さがパフォーマンスと密接に関係している。VO2maxを高めるためには、さまざまな強度領域のトレーニングを組み合わせる手法が有効とされてきたが、実際にどの強度領域が最もVO2maxを高めるのかについては、これまで多くの議論がなされてきた。本記事では、Inglisらの研究(2024年)に基づき、VO2maxを高めるためのトレーニング強度領域について、その結果と考察を紹介する。
我々がトレーニングで一番よく使うのが、ダブルローテーションというやり方です。ふたりが並んで先頭を引き、残りも2列でずらりと並びます(図2.3)。
本記事では、「食事のタイミングとカロリー配分」に関する研究を紹介する。今回紹介する研究(Ruddick-Collinsら, 2022)では、「朝にカロリーを多めに摂る(Morning loaded)」食事スタイルが、エネルギー消費量には大きな変化をもたらさない一方で、食欲を抑制する効果があることが示された。これは、体重管理が必要なロードレーサーのダイエット戦略に役立つ可能性がある。
引く長さについて、明確な基準はありません。さまざまなことを考慮して、自分が引く長さを決めましょう。もちろん、好きなだけ引けるわけですが、疲れてペースが落ちはじめたら、落ち幅が時速1kmに満たないくらいであっても先頭を交代すべきです。
先頭のライダーはしばらく引いたのち、横にずれて先頭を譲ります。そのとき横風が吹いていたら必ず風上へずれること(図2.2)。絶対に、です。横風があるとドラフトの発生位置が風下側にずれるので、ライダーも風下に向けて斜めに並びます。だから、風上にずれないと、少しかぶっている後ろの人の前輪をなぎ払ってしまうのです。
本書から学ぶことをひとつだけにしろと言われたら、この章でしょう。自転車競技に必要なテクニックはいろいろとありますが、すべての基本となるのが、このローテーションです。たとえばライターとして成功したければ、どこかの時点で文字を習う必要があります。それと同じです。自転車レースでいい成績を収めたければ、くり返しになりますが、ローテーションが基本になるのです。
レースで自分自身が最悪の敵になってしまうこともあります。熱くなりすぎて頭がまっとうに回らなくなったりするのです。だから、レースが終わったらひとりで反省会をすべきです。失敗からは多くのことが学べますから。
トラックのスプリント競技では対戦相手とトラックの両方に目配りをしつつ、前を走る技量が必要になります。この競技を見たことがある人ならわかるでしょう。トラック3周のスプリント競技で残り1周半。前を走る選手は対戦相手から一瞬も目を離しません。離した瞬間にダッシュされ、レースが終わってしまうからです。この競技に熟練した選手なら、前を見ることなくトラックを周回することができます。風景も路面状況も、すべて、一定だからです。対してロードレースやクリテリウムは、変化するものが多すぎて後ろをふり返るのは危険です。スプリント直前にライバルの状況を確認しようと後ろをふり返ったら、道に穴があってクラッシュするかもしれません。目配りしなければならない相手がたくさんいるのも、トラックのスプリント競技と違う点です。
友だちとふたり、コロラド州ボールダーの北でトレーニングしたときのことを紹介しましょう。アップダウンの田舎道を一定ペースで走っていると、自転車が1台、1km近く先を走っていることに気づきました。そのままのペースで走ったので、自転車はだんだん近づいてきます。
レースが始まったら、周りで起きていることを細大漏らさず把握します。アタックしているのはだれか。それをブロックしている人はいるか。いるならだれか。集団の反応は? アタックを集団が追いはじめるタイミングは? 脅威となる選手が逃げているか。いるのに集団が動かないなら、自分でなんとかしなければなりません。勝負を分ける動きには瞬間的に反応しなければいけません。遅きに失すればおしまいです。
レースはスタートするより前に始まっています。まず、コースとライバルを確認しましょう。どういうコースなのか。特徴は? どんなコースにも、レース結果を左右するようななにかが必ずあります。ごくありふれたコースにも、です。ウォーミングアップをしながら、利用できそうな場所はないか探しておきましょう。過去のレースがどういう展開になったのかも確認しておくべきです。今回も似たような展開になる可能性が高いからです。