ロードバイクで使うエネルギー源には3種類ある

【初心者のためのヒント】2011年11月13日 18:25

ロードバイクで走っている時に使うエネルギーは、同じ「ペダルをこぐ」という動きにも関わらず、実は3種類もあります。全力でダッシュした時と、速い仲間に必死で食らいついて走っている時と、会話しながら楽しくサイクリングしている時で、それぞれ呼吸のきつさや筋肉の感じが全然違うと思います。これらは、それぞれ別のエネルギー源を使っているからです。

 

3種類のエネルギー供給回路

このエネルギーは、別々の仕組みで作り出されますがこの仕組みのことを「エネルギー供給回路」といいます。「回路」というと機械をイメージしますが、人間の体には機械以上に複雑な仕組みが組み込まれているのです。

■ATP-CP系:ひじょうに大きなエネルギーを出せるが7秒しかもたない

全力でダッシュしている時にエネルギーを作り出す仕組みを「ATP-CP系」と言います。

いきなりかなり難しい言葉が出てきましたが、ATPは「アデノシン三リン酸」という物質名でCPは「クレアチンリン酸」という物質名のことで、それぞれエネルギーを生み出す物質として筋肉に蓄えられています。この2つの物質を使ってエネルギーを作り出すので、ATP-CP系というわけです。この2つの物質の特徴は、ひじょうに大きなエネルギーを短時間で作り出せるのですが、たった7秒程度しかもたないことです。

■乳酸系:大きなエネルギーを出せるが33秒しかもたない

それでは7秒以上になったら何をエネルギー源にするのでしょうか?

次に利用するのは筋グリコーゲンというものです。グリコーゲンというとわかりにくいのですが、要は砂糖やお米が筋肉でエネルギー源として使いやすいように分解されたものです。この筋グリコーゲンは先ほどの2つの物質ほどではありませんが、やはりかなり素早く大きなエネルギーを作り出すことができます。しかしこのエネルギーも33秒程度しか持ちません。筋グリコーゲンが分解される時に、乳酸という物質できるのでこの仕組みを「乳酸系」と呼びます。この「乳酸系」と先ほどの「ATP-CP系」は、その運動中に呼吸で取り入れた酸素を使うのではないので「無酸素系・無酸素運動」と呼ばれます。

■酸化系:小さなエネルギーを長時間連続して出せる

それでは、もっと長い運動は何をエネルギー源にしているのでしょうか?

この場合は、脂肪と糖質(筋グリコーゲンなど)を使います。これらを分解してエネルギーにするのに「酸素」を使うので「酸化系」といいます。このエネルギー源の特徴は、エネルギーを作り出すのに前の2つより手間や時間がかかるので短時間で大きなエネルギーは出せないのですが、比較的小さなエネルギーであれば長時間連続して出し続けることができる点です。呼吸で取り入れた酸素を使ってエネルギーを作り出すので「有酸素系・有酸素運動」と呼ばれます。ロードレースは、1時間~数時間にもわたって行われることが多いので、ロードレーサーにとっていちばん大切な能力が「有酸素運動の能力」といわれるゆえんはここにあります。

 

様々な練習が必要な理由

これらの能力を、たった一つの練習メニューで強化することは残念ながらできません。それぞれ違う仕組みなので、練習方法も違ってくるのです。ロードレーサーとして強くなるには、長距離を乗り込んだり、スプリントの練習をしたり様々な種類の練習をしなければならないのは、体にこういった別々の仕組みがあるからなのです。