トレーニングの原則3 「特異性の原則」「全面性の原則」「個別性の原則」「意識性の原則」
トレーニングの原則は残る4つですが、次に説明する特異性の原則はとても重要です。
特異性の原則
■トレーニング効果は条件の組み合わせで変わる(特異性がある)
トレーニングを行う時の条件にはいろいろなものがあります。例えば「強度(きついか楽か)」「速度(20㎞/hでゆっくり走るか40㎞/hで高速走行するか)」「ポジション(サドルに座ったままか立ちこぎか」「練習場所(峠でやるか平地でやるか)」といったぐあいに、さまざまな組み合わせがあります。この組み合わせによって、トレーニング効果はまったく変わってきます。
■目的を明確にし、それを実現するのに最適な条件で練習する必要がある
つまりトレーニングの効果には、それぞれ「特異性」があります。ですから、「鍛えたいと思っている目的」をはっきりさせて、それを実現するのに最適な条件で練習する必要がある、というのがこの「特異性の原則」です。
■スプリント練習ばかりしてもヒルクライムに効果は少ない
ひとつ例をあげると、来年はヒルクライムの大会で上位入賞したいと思っている人が、平地で練習仲間とスプリント練習ばっかりやっていた場合、スプリント能力は高まっても、ヒルクライムでよい結果がでることはないでしょう。ヒルクライムで上位入賞するには、長い坂を上り続ける能力を鍛えるのに特化した練習が必要になります。
科学的に証明されている原則と経験則
■過負荷・漸進性・継続性・特異性の原則は科学的に証明されている
ここまでは科学的にデーターで証明されている原則です。その意味で、ここから外れるとほぼ必ずトレーニングがあまりうまくいかない可能性があるので、特によくおぼえておいて下さい。
■全面性・個別性・意識性は経験則
残る3つは科学的なデータで確認はされていませんが、経験的に知られている原則です。これらはサラッと簡単にだけ説明しておきます。
全面性の原則
■全身をバランスよく鍛える
ひとくちに体力といってもさまざまな要素がありますが、それらを全体的に底上げしていくほうがよいということです。ある一つの筋肉ばかり鍛えるのではなく、他の筋肉もバランスよく鍛えたほうが効果が高いというものです。
個別性の原則
■個人差を踏まえて練習方法を決める
人には個人差(年齢・性別・体力・体格・目的・経験など)があり、全員が違っています。トレーニング内容は、その個人差をよく考えたうえで決めなければいけないということです。残念ながら「誰でもこれをやればうまくいく!」というトレーニング方法はないと思ったほうがよいでしょう。
意識性の原則
■トレーニング目的を意識する
トレーニング目的・方法・効果を理解して練習することが大切だということです。ただ何となく練習するよりも、「いまなぜこのトレーニングをするのか」といったトレーニング目的をしっかり意識しながらトレーニングをしたほうが、練習効果がはるかに高いということです。
■目的意識が強ければ厳しい練習に耐えられる
目的意識が強ければ強いほど、厳しい練習に耐えるモチベーションを得られます。これを科学的に証明するのは難しいですが、多くの選手・指導者が口をそろえて「とても大切だ」という原則です。