ローラー練は「体力アップを目指すうえで」ひじょうに効率がよい

【初心者のためのヒント】2011年11月23日 16:29

ローラーの実物を見たことがあるでしょうか?ローラーとは、実際に走らずに同じ場所で練習やウォーミング・アップができる練習器具のことで、大きく分けると「固定ローラー」と「3本ローラー」の2種類があります。

 

ローラー練のメリット

■体を鍛えるのにローラー練は効果が高い

ローラーでの練習は同じ場所でくるくる足を回す動きなので、「自転車に乗って風を切って走る」という自転車本来のイメージからはかなりずれます。景色も変わらないのであまり楽しそうに見えないかも知れません。しかし強い選手の中には、ローラーでの練習を重要視している選手が少なくありません。なぜかというと「体を鍛える」という意味では「ローラー練はかなり効果が高い」からです。

■外での実走では邪魔になるものが多い

なぜローラー練習は効率がよいのでしょうか?

外を実際に走っている時を思い出してみてください。

町の中では特にですが、「信号」「車」「交差点」「歩行者」などによって何度となくストップ&ゴーを繰り返さなければなりません。「来月のヒルクラムに備えて、少しきつめの負荷で20分間休まず走り続ける練習しよう」と思っても、町中ではとても無理でしょう。そのためには信号のない河川敷の自転車道や、郊外の田舎道や、峠などに行く必要がありますが、そのような素晴らしい道が家の近くにある人は少ないと思います。たいていの人は適当な練習場所まで数十分から1時間程度かけて行くしかありません。しかし仕事や学校が忙しい人の場合は、毎日練習場所まで行けるほどの時間はないでしょう。そんな時に活躍するのがローラーです。

■ローラーでは信号などに邪魔されずに練習できる

ローラーを使えば、「信号」「車」「交差点」「歩行者」などに邪魔されずに、一定のペースで負荷をかけ続けられます。いわば部屋の中に「河川敷」「峠」のような最適な練習コースと同じような状況を作り出せるのです。

■狙った強度と時間で体に負荷をかけられる

効果的にトレーニングするには、体力アップにつながるような強度(きつさ)と時間でしっかり体に負荷をかける必要がありますが、それが簡単に実現できるのがローラーなのです。

■大幅に時間を節約できる

セッティングにかかる時間もせいぜい数分から10分程度です。数十分から1時間程度かけて練習場所に行って戻ることを考えれば、大幅に時間を節約できます。その意味でこれほど体力アップに効率的な練習方法はないといえます。

 

ローラー練のデメリット

■固定ローラーでは筋肉の使い方が実走と微妙に違う

しかしよいことばかりではありません。

これは固定ローラーについていえることですが、ほとんどの機種が後輪をガッシリ固定するタイプなので、自転車を左右に振れません。実際に走る時は必ず自転車はある程度左右に振れますが、それができないのです。実走の動きと少し違うので、固定ローラーばかりやっていると筋肉の使い方やペダリングが少しいびつになるリスクがあります(その点3本ローラーは、固定されないので実際に走っているような自然なペダリングになるのでそういった心配はありません)。

■実走で必要なスキルや感覚が鈍ることがある

また、外を走る時に必要な「とっさの判断力」「機敏な動作」「コーナリング・テクニック」「集団走行の技術」といった大事な感覚が鈍ってしまうといわれることもあります。

■「外で走るより楽しい」とはいえない

他にも「景色が変わらないので飽きてしまう」「風で汗が乾かないので汗だくになる」といった点はあまり嬉しくない点です。人によっては、DVDを見ながら練習することで退屈さを紛らわしたり、業務用扇風機を使って体を冷やすようにしたりして工夫していますが「外で走るより楽しいか?」と聞かれると、なかなかそうはいえないと思います。

 

ローラー練をするかどうか

■「短時間で効率的に速くなりたい人」に向いた練習方法

こういったことから「練習時間が十分確保できる」という人や「それほど真剣に強くなりたいわけではない」という人であれば、わざわざローラーで練習する必要はないでしょう。

しかし、「忙しくて練習時間をたくさん取れない」「でも短時間で効率的に練習して速くなりたい」という人は、ローラーでの練習を導入するとかなり効果が高いと思います。