初心者にありがちな過ち ~自転車にのめり込み過ぎること:取りつかれたようにトレーニングをすると、逆に目標達成は遠ざかる~ (初心者)【CTB】

【初心者のためのヒント】【立ち読み版】2014年1月16日 06:41

初心者にありがちな過ち

■取りつかれたようにトレーニングをすると、逆に目標達成は遠ざかる

サイクリングに真剣に取り組み始めて3年未満の人は、年齢に関係なく初心者といえます。競技に打ち込む理由に関わらず、大事なのは成功するために必要なものが何かを学ぶことです。特に重要なのが、自転車での成功のカギを握る要素を理解することです。あらゆるスポーツと同じく、サイクリングでも、どれだけ準備をしたかが、結果に表れます。レースに必要な能力を鍛えるには、トレーニングをする以外に方法はありません。たとえば、アップ・ダウンの多いコースでのレースならアップ・ダウンの多いルートでのトレーニングが、長距離レースには優れた有酸素持久力が不可欠です。持久力はレースの種類に関わりなく、自転車競技に不可欠の要素です。サイクリングでは、長距離を走る能力がなければ、よい結果を出せないでしょう。

■粘り強くトレーニングを継続するために

どちらかを選べといわれれば、「レースよりもトレーニングの方が好きだ」と答える選手は少なくないはずです。レースは目の前にぶらさげられたニンジンのようなもので、仕事を終えた後でも「練習に行こう」という気持ちを高めてくれるのに役立ちます。レースがなければ、練習の必要性を感じることもなく、緊張感も生まれないでしょう。レースがあることで、集中力と目標を持ってトレーニングに打ち込めるのです。それでも、練習はそれ自体で楽しいものでもあります。練習中は日常から離れられます。今日の嫌な出来事や明日の不安も気にする必要はありません。自転車に乗っている時は、何もかも忘れ、呼吸をし、体を動かすことだけに集中できるのです。

練習は、同じ趣味を持つチームメイトやトレーニング・パートナーと時間を過ごせる時でもあります。トレーニング・パートナーがいると、つらいことも乗り越えやすくなり、意欲も高まります。誰でも、モチベーションを保ちにくくなる時があります。どれだけ優れた選手でも、練習意欲には浮き沈みがあります。これは、その人の精神力が弱いというわけではありません。自分を守るために役立つ場合もあります。たとえば、「体が回復を求めている」という合図なのかも知れません。しかし、意欲を失った結果として練習を休み過ぎると、体力が落ち、レース・パフォーマンスも低下します。こういった状況で効果的なのがグループ・トレーニングです。同じような内容の練習をしている選手を探しましょう。地元のサイクリング・クラブに聞いてみたり、近所の自転車ショップにトレーニング・パートナー募集の張り紙を貼らせてもらったりするとよいでしょう。仲間と練習する機会を、定期的に予定に組み入れましょう。

初心者にありがちな過ちは、自転車にのめり込み過ぎることです。取りつかれたようにトレーニングをすると、逆に目標達成は遠ざかります。怪我や病気、燃え尽きやオーバートレーニングを引き起こしてしまうからです。2章で説明したように、トレーニングは適度に行うことが重要です。特に、自転車競技のように、時に一見すると、きわめて苛酷に思えるスポーツではそれが大切になります。基礎体力を養成する時期は、慎重にトレーニングすることが何よりも大切です。この時期での高強度の練習や過度な練習量は、逆効果になってしまいます。

では、何を基準に適度な練習を判断すればよいのでしょうか。トレーニング1年目のヒントを紹介します。 ⇒続きを読む

 

※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。