一流プロと体組成を比較 エディ・メルクス
一流プロとの体組成比較シリーズの第9弾、今回は勝利への貪欲さから「人食い(The Cannibal)」の異名で恐れられ数々の偉業を成し遂げた「カンピオニッシモ(Campionissimo:チャンピオン中のチャンピオン)」、エディ・メルクスとの体組成比較シートを紹介する。
史上最強のロード・レーサー
■真の意味でのオールラウンダー
エディ・メルクスは、グランツールだけでなく世界選手権やクラシックでも数多くの勝利を積み重ねたが、これを成し得たのは「優れた山岳能力」「優れたタイムトライアルの能力」「優れたスプリント能力」「優れた回復力」を同時に備えていたからだと思われる。これらの中のある個別の能力が突出して高い選手自体もそう多くはないが、これらの全てを同時に備えている選手はほとんどいない。その例外中の例外がエディ・メルクスであり、真の意味でのオールラウンダーであったといえるだろう。
■カンピオニッシモ
長い自転車レースの歴史の中で、「カンピオニッシモ(Campionissimo:チャンピオン中のチャンピオン)」と呼ばれるのはファウスト・コッピとエディ・メルクスだけだが、それほど別格の強さを誇った史上最強のロード・レーサーだったといえる。
エディ・メルクスとの体組成比較シート
以下のExcelシートに身長・体重・体脂肪率を入力すると、入力身長と同数値で換算したエディ・メルクスの体組成と比較できる(エディ・メルクスの体脂肪率は不明であるためトップ選手の平均値5%を使用・また体組成を精緻に比較するには筋肉量や骨重量データが必要になるのであくまで参考値)。
エディ・メルクスとの体組成比較シート→リンク
エディ・メルクスの特徴
■身長がやや高くBMIもやや高い
エディ・メルクスの特徴は、身長が182㎝と欧州プロ・ロードレーサーの平均身長180.22㎝よりやや高く、BMIも22.3と同平均値21.3よりやや高い点だ。やや大柄で・筋肉質の体型だったといえ、これはランス・アームストロング(身長178㎝・BMI 22.7)の数字に近い。やや大柄の体格・多めの筋肉量が「山岳で優位性を保ちつつ」「タイムトライアルでも有利になる」絶妙なバランスであったことが伺われる。
■高い有酸素能力
その他の身体能力データとして、VO2maxが77ミリ・リットル/㎏/分、1時間に出せるパワーが450W(推定6.25W/㎏)といった数値が残っており、高い有酸素能力を備えていたことが確認できる。
■エディ・メルクスの身体能力データ
- 身長:182㎝
- 体重:74㎏
- VO2max:77ミリ・リットル/㎏/分
- 閾値パワー:450W(1986年に自転車エルゴメーターを用いて1時間で出したパワー)
- パワー・ウェイトレシオ(閾値):6.25W/㎏
参照URL
- SR/OLYMPIC SPORTS
http://www.sports-reference.com/olympics/athletes/me/eddy-merckx-1.html - ウィキペディア
エディ・メルクス
Eddy Merckx - REAL TRIATHLON
http://www.geocities.jp/resultri/crankcho/physique.html
参考文献
- 青木純一郎, 佐藤佑, 村岡功編著・『スポーツ生理学』・P133・市村出版
- ギャレット/カーケンダル編, 宮永豊総監訳・『スポーツ運動科学』・P661・西村書店
- ヴォルフラム・リントナー著, 安家達也訳・『ロード競技トレーニング』・P204~206・未知谷