【PTB】ピーク調整用・TSBシミュレーター(β版)
年間トレーニングの計画や、ピーキング調整に使える指標のひとつにTSBがある。他方、WKO+などのソフトでは、TSBに関連する指標の過去の推移はチェックできても、将来のシミュレーションをすることはできない。今回は「どのタイミングでどの程度のTSSを積み上げれば、TSBとCTLを絶妙のバランスにもっていけるか」 をかんたんにシミュレーションできるExcelシート(試作品)を紹介する。
TSBシミュレーター(β版)
以下のExcelシートに必要数値を入力すれば、かんたんにATL・CTL・TSBのシミュレーションができる。Excelシート→入力用 サンプル
入力必須項目の説明
Excelシートの「初期設定」欄に入力が必要な数値は以下の通り。
- ATLの初期値
WKO+などのソフトから入力日付のATLがわかっている場合はその値を入力する。
不明な場合は、「初期値」のコメント欄や『パワー・トレーニング・バイブル』のP217を参考に推定値を入力する。 - CTLの初期値
ATLと同様に入力する。 - 開始日
任意の日付を入力する。
使用方法など
- 初期設定に必要数値を入力後、TSS(入力用)に、今後の練習やレースのTSS予定を入力すると自動的にATL・CTL・TSBが算出される。
- TSSの入力欄は、1日に何度かに分けて練習する場合を想定して、1日に最大3つの数値を入力できるようになっている。
- 右端の2列「オーバー・トレーニング・チェッカー」の欄には、以下の2ケースに該当した場合に「注意!」と表示される。
- ATLが1週間で70TSS以上、上昇した場合
- CTLが1週間あたり7TSS以上のペースで4週間にわたって上昇した場合
注意点
- 時定数には、標準的な数値として「ATL:7」「CTL:42」が入力されているが、実際の感覚とずれているようであれば必要に応じて調整したほうがよい(『パワー・トレーニング・バイブル』P218ご参照)。
- 上記サンプル例とWKO+の生データを比較検証したところ、109日分のデータで最大誤差が ATL:2.7・CTL:0.1・TSB:1.4 となった。この誤差が「大きすぎる」と思う場合は、本シートを使わないほうが無難。
- TSBは、今まで目に見えず感覚で推測するしかなかった「調子」をかなりの精度で数値で管理できるといった意味でかなり画期的なコンセプトだが、「トレーニングが体に与えたストレスだけしか反映していない」という限界点もある。つまり仕事を始めとする日常生活のストレスがかなり高い場合などには、TSBだけ見ていてるとオーバー・トレーニングに陥るリスクがある。その意味ではTSBなどを参考にしつつも、最終的には「自分の身体の声」にもよく耳を澄ませて、総合的に判断したほうがよいだろう。
- 最適と考えられるTSBなどのレベルは、目標とするレースがクリテリウムのように無酸素運動寄りか、ヒル・クライムのように有酸素運動寄りかによって違うなど、様々な留意点がある。それらについては、『パワー・トレーニング・バイブル』の第8章(P189~220)に詳しい記載があるので、ご参考にされたい(また以下の参考URLもひじょうにおすすめです)。
プロ選手の活用事例
ファンライド | |
ファンライド |
偶然入部氏の記事を発見したけど、TSS関連の使い方よくまとまっている。ほとんど自分も同じところに落ち着いてた https://t.co/6lYF9sLFqS
— Ryota Nishizono (@NishizonoRyota) 2018年12月18日
参考URL
- 鈍行・中目黒の自転車メモさん・『トレーニングの負荷を科学する』
http://www.yama-kei.org/local_train_nakameguro/2010/06/post_149.html - TARMACBLOGさん・『TSS/CTL/ATL/TSB estimation using HR』
http://tarmac2006.blog103.fc2.com/blog-entry-32.html