サイクリストが犯しがちな7つのミス

【速くなるためのヒント一覧】2012年8月3日 07:00

ロード・レースの実力をつけようと思えば、普通は長期間にわたって継続的にトレーニングする必要がある。その途中には、どうにもうまくいかない時もあるかも知れない。その原因は一体何なのだろうか。これには様々な理由があると考えられるが、サイクリストが犯しやすいミスというのはあるようで、多くのコーチが本やネット上で指摘している。今回はそれらの中から『パワー・トレーニング・バイブル』の著者であるハンター・アレン氏が指摘する「ほとんどのサイクリストが犯す7つのミス」を一部補足を交えて紹介する。鵜呑みにする必要はないだろうが、長年のコーチ経験を踏まえたアドバイスであり、何らかの参考になる点があるかも知れない。■この記事は、旧サイトからの移行分です(2012.03.02の記事です)■

 

サイクリストが犯しがちな7つのミス

■休養不足

アスリートの多くが十分に休養を取っていない。また休むべき時でも、本当の意味で休んでいないことが多い。軽くストレッチをし、健康によい食事をとり、昼寝をしよう。もし毎日昼寝ができる環境ならば、できるだけ昼寝したほうがよい。そうすればもっと強く・速くなれるだろう。ハードなトレーニングをした時には、回復はトレーニングと同じくらい重要になる。実際に体力が向上しているのは、休養している間だ。トレーニングしている時は、筋肉が損傷し・疲労し・痛みを感じる時もあるだろう。休んでいる間に体が修復され、より強くなる。もし休みが不足していれば、せっかくハードに練習したのに強くなれないかも知れない。

■十分ハードに練習できていない

多くのサイクリストは、自分が思っているほど「十分ハードな練習」ができていないことが多い。コーチングを開始する時、指導を受けるアスリートのほとんどは「これまで自分はハードにトレーニングしてきた」と考えている。しかし実際は、ほとんどのサイクリストは「トレーニングに対する体の適合」を生むのに十分なトレーニング・ストレスをかけられていない。1週間に1回のハード・トレーニングだけでは、とても足りない。1週間に3回はハード・トレーニングを行い*、2日は回復にあてよう。ハードに練習すべき時は、自分でしっかりハードに追い込もう。やってみれば驚くほど自分を追い込めるものだ。実際に自分を限界まで追い込んでみなければ、自分がどこまでやれるのかは、ずっとわからないだろう。

*ピリオダイゼーションの方法を取るのであれば、移行期間や基礎期間に追い込んだ練習することは少ないと思われるのでその点は割り引いて考えたほうがよいだろう。趣旨は「身体にプラスの適合を起こすのに必要な負荷をかけることが重要」ということだと思われる。

■水分補給不足

レースの最大の敗因は、不適切な水分補給であることが多い。水分補給は十分行ったほうがよく、レース前、レース中、レース後にもしっかり水分補給をしよう。真夜中に1回もトイレに行かずに済むようであれば、水分補給が十分でないかも知れない。毎日2リットルの水の入ったペットボトルを用意して、1日で飲み切るようにしよう。寝床のそばにも水を1杯置いておき、真夜中にいくらか飲むようにする。走行中は20~30マイル(32~48km)ごとにボトル1本*を飲み切るようにしよう。

*水分摂取量は、気温や湿度などによってかなり変わるので適宜調整が必要。

■病気の後、トレーニングを早すぎるタイミングで再開する

病気の後、トレーニングを再開する場合に、ほとんどのサイクリストはトレーニングを早すぎるタイミングで再開してしまう。病気で熱が高くなり咳が出ていた場合には、「本心から98%は健康が回復した」といえるようになるまで待ったほうがよい。多くの場合「80%程度の回復度合いで練習を再開してしまい、その後ぶり返してさらに2週間風邪を引きずってしまう」ということになりがちだ。あとたった2日だけ練習再開を待てば、98~100%まで回復し、きっちりとトレーニングを再開できるだろう。そうするために、次のようなルールを守ることをおすすめする。「もう練習再開できる程度に回復した」と感じてから、せめてあと1日だけ待つようにしよう。たった1日か2日練習再開を遅らせるだけで、その後の練習がずっと実のあるものになるだろう。

■ストレッチをしない

ストレッチは意識的に自分で行わなければ、日常生活の中で同じような動作をする機会はまずない。たった15~20分だけでも毎日ストレッチをすれば、背中・肩・脚・お尻がずいぶん楽になるだろう(ヨガのクラスに1週間通ってみるのもよいかもしれない)。

■先輩のまねをしない

経験豊富な選手と一緒に走る機会があれば、彼らがすることをそのまま真似しよう。先輩がドリンクを飲めば自分も飲み、休めば自分も休み、アタックすれば自分もアタックする。経験豊富で実力がある選手は、「走りに役立つ多くの小さなコツ」をしっかり習得しているからこそのよいパフォーマンスを発揮できるといえる(もちろん築き上げてきた体力も大きい)。これまでコーチしてきた中でもベストの選手を思い返すと、そういったベストの選手でさえ「その時の彼らにとってベストの選手」を正確に真似することで多くのことを学んでいた。子供が両親を見て学び同じことをするように、「先輩」の真似をして多くのことを吸収しよう。

■機材を変えた時に「慣らし期間」を設けない

バイク・シューズ・クリート・ペダルなどポジションに少しでも影響するような機材を変えた場合には、「慣らし期間」を設けよう。2~3週間程度かけてゆっくり体を慣らしていき、何か痛みを感じた場合はストップする。新しい機材を導入してすぐ長い時間走った結果、体が故障してしまい全シーズンを棒にふるということは結構よくあることだ。特に自転車の場合、1回走りに行けば何百回・何千回も同じような動作を繰り返すので、新しい動きのパターンに体をなじませるには十分に時間をかける必要がある。

 

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