エアロ投資の費用対効果の研究事例
「空気抵抗の削減」はタイム・トライアルのパフォーマンスに大きく影響するので、「ポジションを煮詰めること」と同時に「最適なエアロ機材」の選択が重要になる。しかし機材投資の予算が限られる場合は、何を優先すればもっとも費用対効果がよくなるのだろうか。今回はbikeradar.comを参考に、「エアロ投資の費用体効果の研究事例」を紹介する。
レース場と風洞実験室での実験
■テスト概要
bikeradar.comでは「バイク種類」「ヘルメット」「ハンドル」の3種類の機材の組み合わせを変えた計5通りについて、レース場(スピード・ウェイ)での実走と風洞実験室の2種類の実験を行っている。実験では、約40kmの一定ペースで走行時の「空気抵抗(CdA)」と「パワー(W)」が調査されている(正確にはスピードに若干のばらつきがあり、bikeradar.comには速度も示されている)。
■テスト結果
以下がその結果の一部を要約したものだ(Wのデータのみを記載)。実際のレースの状況に近いレース場での結果数値を見てみると、なんと最大で78W(最大:307W, 最小:229W)もの削減効果があることがわかる。この差はかなり大きく「お金でタイムを買う」効果は相応にある、といえそうだ。
【機材組合せ】 | 【レース場】 | 【風洞試験】 | ||||
バイク | ヘルメット | ハンドル | W | 削減幅 | W | 削減幅 |
ロード | ロード | 下ハン | 307 | - | 278 | - |
ロード | ロード | エアロバー取付 | 269 | 38 | 249 | 29 |
ロード | TT | エアロバー取付 | 261 | 46 | 240 | 39 |
TT | ロード | エアロバー | 263 | 44 | 230 | 49 |
TT | TT | エアロバー | 229 | 78 | 221 | 57 |
注)風洞試験では空気抵抗しか影響しないため、レース場での実走と比べると、パワーは低くなる(一方でCdAは概ね一致)
1Wを削減するために必要な追加コスト
ただし機材によっては費用対効果はかなりばらつきがあるのが実情だ。 bikeradar.comでは、これらの実験結果をもとにまとめた、機材の種類ごとの「1Wを削減するために必要な追加コスト」が紹介されている(以下の表は、オリジナルの表を円価格に換算して要約したもの)。
【機材名】 | 【1W削減のコスト 】 円/W |
||
エアロバー取付 | 257 | ~ | 3,120 |
TTヘルメット | 647 | ~ | 1,989 |
TTバイク | 3,900 | ~ | 39,000 |
エアロホイール | 4,680 | ~ | 62,400 |
同じ機材種類でも価格帯はさまざまだが、その絶対額にはかなりの差がある。予算が限られる場合は「費用効果の高い機材から優先的に投資していく」のが現実的といえるだろう。
実験での使用機材など
- ロード・バイク:スペシャライズド Tarmac SL2とHED Bastogne(ホイール)の組み合わせ
- TTバイク:スペシャライズド Transition とHED Trispoke(ホイール)の組み合わせ
- スキンスーツ・アームカバー・指先までカバーしたグローブを着用
- ライダーとバイクの合計重量は83kg
- その他詳細条件やCdAなどのデータはbikeradar.comをご参照
- パワー(W)は少数第一位を四捨五入
- コスト削減効果は、1ドル=78円で換算
参照URL
- bikeradar.com・『How aero is aero?』
http://www.bikeradar.com/road/gear/article/how-aero-is-aero-19273/