冬の高強度インターバルトレーニング ~冬のトレーニングに高強度インターバルトレーニングを取り入れてもよいのでしょうか?~【12W】
冬のトレーニングに高強度インターバルトレーニングを取り入れてもよいのでしょうか?
これは、議論の多い話題です。10人のコーチに質問すれば、10通りの回答が返ってくることでしょう。
私は時間効率のよいトレーニング方法の熱烈な信奉者であり、高レベルの有酸素運動をシーズンの間中ずっとトレーニング計画に組み込む試みを続けてきました。ですから、「冬期における、インターバルトレーニングの効果的な実施方法」を明らかにすることの重要性を、人一倍感じています。
冬の間にインターバルトレーニングに取り組むことについて、いちばんよくある批判は、「あまりにも早くピークをつけてしまうリスクがある」というものです。この意見には、賛成できません。プロ選手でもない限り、あまりにも早くピークをつけてしまうというリスクは低いといえます。
ホビーレーサーであれば、体力には、まだかなりの向上余地があるはずです。だからこそ、より長く、より速く、より高頻度でトレーニングすることに意味があるのです。そうであれば、まだピークからは程遠いといえます。
例を挙げてみます。仮に、以前は、11~2月にかけて週あたり3回トレーニングを積んできたとします。これは、地元のサイクリングクラブに所属している選手の一般的な練習サイクルです。しかし「今年は、パフォーマンスをより高いレベルまで引き上げたい」と思い、「毎週のトレーニング回数を、従来の3回から6回に増やす」と決断したとします。
14日もすれば、ハードな練習の最初の成果が目に見えてくることでしょう。以前の自分と同じ実力のサイクリストと一緒に走ると、少しだけ自分の方が速くなっていることに気づくはずです。これは、実に気持ちよいものです。地元のサイクリングクラブの仲間も、その進歩に気づくことでしょう。
しかし、現在取り組んでいるすばらしいトレーニング・プログラムについて仲間に話したら、ほぼ100%の確率で、批判的な意見にさらされると思います。ベテランのサイクリストは、必ず「あまりにも早すぎるタイミングで、ピークをつけてしまうことになるよ」と警告するはずです。その2~3週間後、皆さんは「トレーニングの進捗について、楽観的すぎたかもしれない」と気づき、仲間たちも「(警告を聞かなかったから)あまりにも早すぎるタイミングで、ピークをつけてしまったようだね」ということでしょう。
実際のところ、このケースでは、あまりにも早すぎるタイミングでピークをつけてしまったわけではありません。短期間に練習をしすぎてしまっただけです。練習のしすぎはピーキングとはまったく関係がなく、同一視するのはナンセンスです。生理学的な潜在能力に近づいたわけではないのに「ピークをつけた」といえるはずがありません。さらに重要なのは、(テーパリングをせずに)トレーニング量を全体的に増やしながら本当にピークの状態に持っていくことはできない、ということです。トレーニング負荷を少しずつ段階的に上げていけば、1週あたり4~5回トレーニングできるようになり、長期的には、1週あたり3回しかトレーニングしていなかった時と比べて、かなり強くなるはずです。
冬に高強度インターバルトレーニングに取り組む場合に重要な点があります。それは、「ただの高強度インターバルトレーニングではいけない」という点です。ロードレースは主として有酸素運動です。ですから、「トレーニングの大部分は、有酸素エンジンの強化を目的としなければならない」ということです。
強固な有酸素エンジンを作り上げるのには、時間がかかります。しかし、いったん作り上げてしまえば、最小限のトレーニングで、そこそこのレベルを維持できます。
しかし、有酸素エンジンを潜在能力の限界まで高めたいのであれば、何年ものトレーニングが必要になります。無酸素パワーの場合は、真剣に練習すれば短期的には急激な伸びを見せるでしょうが、長期的にはそれほど伸びないでしょう。
参考文献
12週間 冬のサイクリング・トレーニング・プログラム | |
ジェスパー・ボンド・メデュス著 | |
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