エイジレスアスリート ~「年齢は、単なる数字に過ぎない」「年齢を言い訳にしたくない」というアスリートたち~

【立ち読み版】【速くなるためのヒント一覧】2024年7月22日 09:56

50を過ぎても速く! 50・60・70代になってもハイパフォーマンスを諦めない

 

年齢は、単なる数字に過ぎない。そう信じているシニア・アスリートもいます。年齢を言い訳にしたくない、という人たちです。年齢に関係なく、ハイレベルのトレーニングやレースができるはずだという主張を曲げません。そして未だに若く、エネルギッシュであるつもりで練習をします。その結果、そのとおり若々しく、エネルギッシュになります。アスリートとしての生活習慣にもまた、パワフルでポジティブな姿勢が表れています。食事は燃料の補給であって、楽しむものではない。食べ物は主に健康効果を考えて選ぶものであって、食欲を満たすものではない。このようなアスリートのトレーニング仲間や友人は得てして彼らよりはるかに若く、同じように熱心にパフォーマンスアップに励んでいます。エイジレスアスリートのパートナーもおそらくエネルギッシュで気持ちが若いのかもしれません。彼らには共通の目標があります。それは、体を鍛え高い目標を達成しながら健康で長い人生を送る、というものです。

しかし、こうしたポジティブな姿勢、パフォーマンスに対する情熱をもってしても、加齢をストップさせることはできません。テロメアは着々と短くなり、幹細胞は減少します。どんなにやる気のあるアスリートにも、加齢により体が変化する日がやってくるのです。しかし、何かの拍子でマイナスの影響が遅れて出ること、少なくなることがあります。なぜシニア・アスリートは年齢以上のパフォーマンスを出せるのか。その科学的解明が待たれているのは、このようなことがあるからです。その答えが見つかれば、世界は変わるでしょう。しかし、実際は自分以外の誰にもわかりません。運動をする理由はいくらでもあります。しかし、いちばん大きいのは、楽しむ、ということでしょう。トレーニングは自分をもう1回子供に帰った気分にしてくれる。トレーニングは楽しい。こんな気持ちを思い出させてくれる薬を、科学が生みだすことはないでしょう。それはあたかも自分の DNAに組み込まれたようなものなのです。

シリアスなシニア・アスリートにとっては、ハイパフォーマンスも楽しみのなかに含まれます。たとえ他者と競っていなくても(未だにそうしている人は多いですが)、誰もが最大の敵、すなわち過去の自分と競争しています。若かったころのパフォーマンスに勝つということは、大きな達成感をもたらしてくれるものです。最後にそれができてから時間が経ってしまった場合、その高い体力レベルに戻るには、何が必要なのでしょうか。自分とハイパフォーマンスとを隔てているものとは何なのでしょうか。それを理解することが、問題を克服するための第一歩です。第3章でその一歩を踏み出しましょう。

 

50を過ぎても速く! 50・60・70代になってもハイパフォーマンスを諦めない

※この記事は、『50を過ぎても速く!』篠原美穂訳・OVERLANDER株式会社(原題:『FAST AFTER 50』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版です。『50を過ぎても速く!』は、アメリカを代表する持久系スポーツコーチであるジョー・フリールが、サイクリスト、ランナー、トライアスリート、水泳選手、スキー選手、ボート選手など、すべての持久系競技のアスリートのために、最新の研究をベースにして、「50歳を過ぎてもレースで力強く走り、健康を維持する方法」をわかりやすく解説した好著です。

※本件記事用に、本文を一部加筆修正しています。

 

■著者:ジョー・フリール(Joe Friel)

ジョー・フリールは、TrainingPeaks.comおよび TrainingBible Coachingの共同創立者です。運動科学の修士号を持つフリールは、1980年から持久系アスリートの指導にあたってきました。彼の教えを受けたのは、自転車、マウンテンバイク、トライアスロン、ランニング、ボート、馬術の選手などであり、年齢もさまざま、初心者からエリートまでとレベルも幅広く、アマチュアもプロもいます。なかにはアイアンマン・レースの優勝者、米国内外のチャンピオン、世界選手権代表、そしてオリンピック代表もいます。

フリールの作品は以下のとおりです。『サイクリスト・トレーニング・バイブル』(OVERLANDER株式会社)、『トライアスリート・トレーニング・バイブル』(OVERLANDER株式会社)、『The Mountain Biker's Training Bible』、『Cycling Past 50』、『Going Long』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Your First Triathlon』、『Your Best Triathlon』、『The Power Meter Handbook』、『Precision Heart Rate Training』(寄稿)、『Total Heart Rate Training』『Triathlon Science』(共同編集)。フリールはまた、米国トライアスロン指導者委員会の設立に携わり、会長を2期にわたってつとめました。

そのほか、『Inside Triathlon』、『Velo News』をはじめとする、200を超える雑誌のコラムを執筆するかたわら、米国以外の雑誌やウェブサイトにも頻繁に記事を寄稿しています。持久系競技のトレーニングに関して、さまざまなメディアから意見を求められており、紹介記事が掲載された雑誌は、『Runner's World』、『Outside』、『Triathlete』、『Women's Sports & Fitness』、『Men's Fitness』、『Men's Health』、『American Health』、『Masters Sports』、『Walking』、『Bicycling』といった専門誌から、『The New York Times』、『Vogue』にまで及びます。

フリールはこれまでに、アジア、ヨーロッパ、南北アメリカ、太平洋地域でキャンプを主催し、アスリートはもとよりコーチにも、トレーニング、レースについて指導を行っています。また、フィットネス産業や政府機関のアドバイザーとしても活躍しています。

エイジグルーパーとしては、コロラド州マスターズ選手権優勝、ロッキーマウンンテン地区、サウスウェスト地区のデュアスロンエイジ別優勝などの戦績を誇り、全米代表チーム入り、世界選手権出場の経験もあります。現在は、サイクリストとして米国の自転車レースシリーズやタイムトライアルにも参加しています。

 

■訳者:篠原美穂

慶應義塾大学文学部(英米文学専攻)卒業。主な訳書に『アドバンスト・マラソントレーニング』、『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』、『はじめてのウルトラ&トレイルランニング』、『ランニング解剖学第2版』(以上、ベースボール・マガジン社)、『トライアスリート・トレーニング・バイブル』(OVERLANDER株式会社)などがある。