ダブルローテーション
■ダブルローテーション
我々がトレーニングで一番よく使うのが、ダブルローテーションというやり方です。ふたりが並んで先頭を引き、残りも2列でずらりと並びます(図2.3)。この形なら、おしゃべりができます。長い距離を走っているあいだ、話し相手がいるわけです。走り方は、基本的に1列ローテーションと同じになります。違いは、先頭を譲るとき、外側にずれること。右列の先頭は必ず右へ、左列は必ず左へずれるわけです。この形では、前走者との間隔があきすぎるとすぐばれてしまいます。怖かったり自転車のコントロールが下手だったりして前走者との間隔が詰められない人がいると、ふたりずつ並んだ形を保てなくなるからです。
これはトレーニングで使うやり方ですから、前を引く時間は30秒なり30分なり、トレーニングの目的に合わせて調整します。
図2.3. ダブルローテーション
※この記事は、『自転車レースの駆け引き』井口耕二訳・OVERLANDER株式会社(原題:『RACING TACTICS FOR CYCLISTS』トーマス・プレン、チャールス・ペルキー著・velopress)の立ち読み版です。『自転車レースの駆け引き』は、ロードレースやクリテリムで上手に走り賢く戦うための戦術・テクニック・スキルを、豊富なイラストを用いてわかりやすく解説した好著です。
※本件記事用に、本文を一部加筆修正しています。
■著者:トーマス・プレン
1970年代初頭から長年自転車競技にかかわる。アマチュアとして、また、プロとして長いキャリアを誇り、1986年にはUSPRO選手権で優勝。また、レッドジンジャー/クアーズクラシックの13回すべてを完走した数少ないサイクリストとしても知られている。全米選手権で常に上位に入る実力の持ち主で、1982年全米タイムトライアル選手権優勝チームのメンバーでもある。現在、コロラド州ボールダー在住。キャットアイ・サービス&リサーチセンターで所長を務めるとともに、みずから立ち上げた消費者調査とコンサルティングの会社ボールダースポーツリサーチの社長を務めている。自転車製品供給者協会の副会長でもある。常勤の職をふたつ兼務し、家族もいるが、ふつうの人がガレージセールに行くような熱心さで、いまも週末にはレースに参戦している。
■訳者:訳者:井口 耕二
翻訳者。1959年生。東京大学工学部化学工学科卒、オハイオ州立大学大学院修士課程修了。53歳でロードバイクに乗り始め、ニセコクラシック年代別3位、UCIグランフォンド世界選手権出場など、ロードレースを中心に活動している。訳書に『スティーブ・ジョブズ I・II』(講談社)、『ランス・アームストロング ツール・ド・フランス永遠(とこしえ)のヒーロー』(アメリカン・ブック&シネマ)などがある。