FTPは実際のところどのくらいの時間維持できるのか?
FTP(Functional Threshold Power:機能的作業閾値パワー)は、トレーニングやレース戦略を立てる上で重要な指標である。しかし、FTPは実際のところどのくらいの時間維持できるのだろうか?本記事では、Sitkoらによる2022年の研究結果を基に、TTE(Time to Exhaustion:FTPを維持可能な時間)について解説する。
■研究概要
87名の男性サイクリストを対象にしたこの研究では、Allen & Cogganによる20分間テストを用いて算出されたFTPを基準とし、TTEが測定された。被験者はVO2max(最大酸素摂取量)に基づいて4つのカテゴリーに分類された。以下がその結果である。
■結果の考察
データを見ると、VO2maxが高いほどFTPを長時間維持できる傾向が明らかである。以下にポイントをまとめる。
・経験豊富なサイクリストほどTTEが長い
VO2maxが74 ml/min/kgのグループでは、平均して51分間のFTP維持が可能であった。一方、VO2maxが46 ml/min/kgのグループでは35分間にとどまった。
・TTEは一定ではない
通常、FTPは「1時間持続可能な最大出力」とされるが、今回の結果からもわかるように、実際の維持時間は個々のフィットネスレベルやVO2maxに依存する。
この研究では、VO2maxの違いによってTTEが大きく変化することが示された。TTEを延ばすためには、TTEを延ばすトレーニングに取り組む方法や、VO2maxを向上させるというアプローチが考えられる。後者であれば、高強度インターバルトレーニング(HIIT)やスプリントインターバルトレーニング(SIT)等が有効と考えられるため、30+30インターバルのようなVO2maxパワーを直接刺激するメニューに取り組むのも一案だろう。
参考文献
Sitko et al. (2022)
Allen & Coggan, "Training and Racing with a Power Meter"
Knowledge is Watt @knowledgeiswatt [https://twitter.com/knowledgeiswatt/status/1670507672293244928/photo/1]
— Knowledgeiswatt (@knowledgeiswatt) June 18, 2023