来シーズンのレースパフォーマンスを高めるための5つの実用的なステップ
オフシーズンは来シーズンに向けてパフォーマンスを高めるための重要な土台づくり期間だ。シーズン中に高負荷のトレーニングを続けた身体とメンタルをリセットし、次の目標に向けて計画を立てる最適なタイミングといえる。本記事では、ホビーレーサーが来シーズンに備えるための、実用的な5つのステップを紹介する。
■睡眠時間を増やす
身体を十分に回復させるうえで欠かせないのが「睡眠」である。日中の活動やトレーニングによって疲労した身体を修復し、ホルモンバランスを整えるためにも、質の高い睡眠を確保することが推奨される。具体的には、1日あたり79時間程度の睡眠を目標にするとよいだろう。就寝時間をあまり遅くしないように心がけるのも大切だ。自分に合ったリズムをつかむことで、翌日の仕事やトレーニングに好影響を与えることができるだろう。
■代替トレーニングを取り入れる
オフシーズンに少なくとも2週間程度は「計画的なロードバイクトレーニング」を休む期間をつくり、身体とメンタルをリフレッシュさせることをおすすめする。これは一見、来シーズンへの準備と矛盾するように思えるが、疲労の蓄積を解消し、次の大きな目標に向けてやる気を取り戻すためには必要な過程といえる。
その間、他のスポーツやアクティビティに挑戦するのも一案だ。マウンテンバイクやランニングなどの有酸素系スポーツなら、比較的短時間でも運動効果が高く、体重管理にも役立つ。さらに、コアトレーニングの要素を含むアクティビティを家族・友人と楽しむのもおすすめだ。
■体重の増加を抑える
オフシーズンは運動量が減るうえ、食事の管理が緩みがちである。少し休むこと自体は必要だが、体重が増えすぎるとシーズンイン後の調整に手間取ることになる。3空4kg程度の増加ならば冬場から春先にかけたトレーニングで無理なく戻せるが、5kg以上増やしてしまうと減量にリソースを取られすぎてしまい、本来取り組むべきパフォーマンス向上のためのトレーニングに集中しにくくなる。
そのためには、食事の量と内容を日頃から意識しながら、適度な運動を維持することが重要になる。前述のランニングやコアトレーニングを含むアクティビティを取り入れつつ、摂取カロリーを必要以上に増やさないよう工夫するとよいだろう。
■過去のシーズンを分析する
自分自身の過去のトレーニング記録やレース結果は、来シーズンの成功を左右する大きなヒントになる。日記や記録しているデータを見返し、「何がうまくいったのか」「どのようなトレーニングや生活習慣が結果につながったのか」を再確認しよう。思い通りの成果が得られなかったのであれば、「何が原因だったのか」「どう改善すればよいか」を客観的に把握する必要がある。
友人やコーチから客観的な意見を求めるのも一つの手段だ。重要なのは、分析結果を受けて「来シーズンに具体的に改善したい3つの項目」程度に絞り込むことである。あれもこれもと欲張りすぎると、何が優先事項なのか見失いがちになるので注意が必要だ。
■来シーズンの計画を立てる
明確な目標を設定し、それに見合ったトレーニング計画を組むことが成果を出すための近道になる。目標となるレースやイベントの日程を確認し、そこから逆算してトレーニングプランを作成することをおすすめする。その際、自分が現実的に確保できるトレーニング時間を踏まえて計画を立てるのがポイントだ。
また、モチベーションを維持するためには、冬の寒さや天候不良を想定した室内トレーニングメニューや代替プランを用意するのもおすすめである。十分な実績のあるトレーニングプログラムを参考にしつつ、自分に合った形にカスタマイズすることが大切だ。どんなに優れたプログラムであっても、自身のライフスタイルと噛み合わなければ継続は難しい。
オフシーズンはロードバイクにとって“お休み”の期間であると同時に、来シーズンの飛躍を準備するための重要なステップにもなる。睡眠を増やして身体を休ませ、代替トレーニングで体力とモチベーションをつなぎ、体重増加を一定範囲に抑えながら、過去の反省を踏まえた目標設定をしっかり立てることで、より高いレベルでのパフォーマンス向上が期待できるだろう。
参考文献
『5 Practical Steps to Boost Your Race Performance Next Season』・Jesper Bondo Medhus・training4cyclists.com [http://www.training4cyclists.com/5-practical-steps-to-boost-your-race-performance-next-season/]
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