高強度インターバルトレーニング(HIIT)の種類と特徴 ~Buchheit & Laursenの理論~

【FTP・LT・VO2max】【トレーニングメニュー】【速くなるためのヒント一覧】2025年1月16日 09:42

高強度インターバルトレーニング(HIIT)は、短時間で心肺機能や筋力を効率的に向上させるトレーニングメソッドであり、さまざまなスポーツ現場で活用されている。本記事では、Buchheit & Laursen(2020)の研究を基にしたHIITの5つのフォーマットについて紹介する。

 

・略号

  • vVO2max: VO2max時の速度
  • VIFT: 30-15 間欠的フィットネステスト(30秒のシャトルランに15秒のレストを挟むテスト)で到達した最大速度
  • RPE: 主観的運動強度

 

■ショートインターバル(SI:Short Intervals)

高強度を15秒といった短時間で断続的に繰り返す点が特徴。主に有酸素系に負荷をかけられる。

  • 持続時間: ≧15秒
  • 強度: 100~120% vVO2max(または85~105% VIFT)
  • 動作: スポーツ特異的動作
  • レスト時間: <15秒、または≧15秒
  • レスト強度: パッシブ(完全休息)または≦70% vVO2max(55% VIFT)
  • 回数・セット数: 6分のシリーズ×2~3セット
  • 主な負荷: 有酸素系: +++、無酸素系: +~++, 神経筋: +~++

 

■ロングインターバル(LI:Long Intervals)

ロングインターバルは、高強度を比較的長い時間維持し、レスト時間も長めにとりながら行う方式である。特に有酸素系に、次いで無酸素系にも負荷をかけられる。

  • 持続時間: 2~3分
  • 強度: ≧95% vVO2max
  • 動作: スポーツ特異的動作
  • レスト時間: ≧2~3分
  • レスト強度: パッシブ(完全休息)または≦70% vVO2max(55% VIFT)
  • 回数・セット数: 2分×6~10本、3分×5~8本、4分×4~6本
  • 主な負荷: 有酸素系: +++, 無酸素系: ++, 神経筋: +~++

 

■リピーティッド・スプリント・トレーニング(RST:Repeated Sprint Training)

ごく短時間の全力ダッシュやジャンプ、方向転換などを短い間隔で繰り返す。敏捷性、神経筋や爆発的パワーの向上が期待できる。チームスポーツなど、瞬間的な加速・減速を繰り返す競技に適したメニューといえる。

  • 持続時間: >4秒(例:30mダッシュ、または15mダッシュ×2本)
  • 強度: オールアウト(全力)
  • 動作: 方向転換(COD)、ジャンプ、爆発的動作など
  • レスト時間: <20秒
  • レスト強度: 55% vVO2max(40% VIFT)
  • 回数・セット数: >6本のスプリント×2~3セット
  • 主な負荷: 有酸素系: +, 無酸素系: ++~+++, 神経筋: +++

 

■スプリント・インターバル・トレーニング(SIT:Sprint Interval Training)

オールアウトのスプリントをやや長めに行い、完全休息を挟むことで最大パフォーマンスを維持する。無酸素性エネルギー供給能力を高めつつ、繰り返し最大パワーを発揮する能力の向上が期待できる。

  • 持続時間: >20秒
  • 強度: オールアウト(全力)
  • 動作: スポーツ特異的動作
  • レスト時間: ≧2分
  • レスト強度: パッシブ(完全休息)
  • 回数・セット数: 6~10本
  • 主な負荷: 有酸素系: -, 無酸素系: +++, 神経筋: +++

 

■ゲームベース・トレーニング(Game-based Training)

試合形式やゲーム感覚を取り入れたメニュー。実際のプレー状況に近く、楽しみながら高強度を維持できるのがメリットである。プレーヤーのモチベーションを高め、競技力を総合的に向上させる効果が期待できる。

  • 持続時間: >2~3分
  • 強度: >RPE 7
  • 動作: スポーツ特異的動作
  • レスト時間: ≦2分
  • レスト強度: パッシブ(完全休息)
  • 回数・セット数:2分×6~10ゲーム、3分×5~8ゲーム、4分×4~6ゲーム
  • 主な負荷: 有酸素系: +++, 無酸素系: +~++, 神経筋: ++~+++

 

目標とするレースで重要になる運動能力に合わせて、これらのフォーマットを組み合わせることで、さらなる身体能力及びレースパフォーマンスの向上が期待できるだろう。

 

参考文献

- Buchheit & Laursen, HIIT Science (2020)

- [Mario Mancebo(@mario_mancebo)](https://x.com/mario_mancebo/status/1259770623318003712)

- [@YLMSportScience](https://x.com/ylmsportscience)