2列ローテーションをしているときに風向きが変わった場合の対処方法

【レース対策情報・レース戦術】【速くなるためのヒント一覧】2025年2月17日 12:51

自転車レースの駆け引き(RTC)表紙

 

■風向きが変わったら

横風に対して2列ローテーションをしていると、たいがい、風向きが変わり、前の選手に対する位置を調整しなければならなくなります。風自体が変化したり道が曲がったりすれば、それに応じて2列ローテーションの形が変わるわけです。ここで大事なのは、前の選手の風下にあるドラフトから外れないこと(これだけ考えていればいいならどんなに楽か)。横風に対して2列ローテーションをしているときは、相対的な位置を少しずつ変え、ドラフトが一番よく効く場所を探しつづけます(図2.11)。

 

図2.11. 横風の2列ローテーションで風が当たりにくくドラフトの効く場所を探す

図2.11. 横風の2列ローテーションで風が当たりにくくドラフトの効く場所を探す

 

風向きが大きく変わると、ローテーションの回転を逆にしなければならなくなります。右から風が吹いているとき、2列ローテーションは左に伸びています(図2.12)。ところがカーブを曲がると、風が左から当たるようになります。先頭にいるときこの風向きの変化を感じたら、そのライダーがそれまでと逆にずれます。前の向きにずれた最後のライダーは、ドラフトの恩恵をうけずに速い列の後ろに戻らなければなりません。そのあとは、回転方向が変わっただけで、ふつうの2列ローテーションとなり、風向きがまた変わるまでそれが続きます。

 

図2.12. 風向きが大きく変わると2列ローテーションの形も変わる

図2.12. 風向きが大きく変わると2列ローテーションの形も変わる

 

自転車レースの駆け引き(RTC)表紙

※この記事は、『自転車レースの駆け引き』井口耕二訳・OVERLANDER株式会社(原題:『RACING TACTICS FOR CYCLISTS』トーマス・プレン、チャールス・ペルキー著・velopress)の立ち読み版です。『自転車レースの駆け引き』は、ロードレースやクリテリムで上手に走り賢く戦うための戦術・テクニック・スキルを、豊富なイラストを用いてわかりやすく解説した好著です。

※本件記事用に、本文を一部加筆修正しています。

 

■著者:トーマス・プレン

1970年代初頭から長年自転車競技にかかわる。アマチュアとして、また、プロとして長いキャリアを誇り、1986年にはUSPRO選手権で優勝。また、レッドジンジャー/クアーズクラシックの13回すべてを完走した数少ないサイクリストとしても知られている。全米選手権で常に上位に入る実力の持ち主で、1982年全米タイムトライアル選手権優勝チームのメンバーでもある。現在、コロラド州ボールダー在住。キャットアイ・サービス&リサーチセンターで所長を務めるとともに、みずから立ち上げた消費者調査とコンサルティングの会社ボールダースポーツリサーチの社長を務めている。自転車製品供給者協会の副会長でもある。常勤の職をふたつ兼務し、家族もいるが、ふつうの人がガレージセールに行くような熱心さで、いまも週末にはレースに参戦している。

 

■訳者:訳者:井口 耕二

翻訳者。1959年生。東京大学工学部化学工学科卒、オハイオ州立大学大学院修士課程修了。53歳でロードバイクに乗り始め、ニセコクラシック年代別3位、UCIグランフォンド世界選手権出場など、ロードレースを中心に活動している。訳書に『スティーブ・ジョブズ I・II』(講談社)、『ランス・アームストロング ツール・ド・フランス永遠(とこしえ)のヒーロー』(アメリカン・ブック&シネマ)などがある。