2列ローテーションでよくある失敗

【レース対策情報・レース戦術】【速くなるためのヒント一覧】2025年2月24日 10:44

自転車レースの駆け引き(RTC)表紙

 

■2列ローテーションでよくある失敗

2列ローテーションでは、たくさんの細かいことに気をつけなければなりません。あらゆる面に気を配る必要があるのです。すごく複雑な技なので、チームメイトやトレーニング仲間と練習をくり返し、テクニックを磨くことをお勧めします。練習では、引くときすぐ後ろにいる仲間に動きをチェックしてもらいましょう。

気をつけなければならない点をいくつかまとめておきます。

 

  • 先頭に出たとき加速しないこと。ペースやがんばりが一定になるように引くこと。
  • 先頭から横にずれる前に減速を始めないこと。後ろのライダーがいったん減速し、その後また加速しなければならなくなります。
  • 横にずれすぎないこと。密な状態でローテーションを回すこと。そうすれば、隣のライダーのドラフトも利用できます。
  • 下がるスピードを速くしすぎないこと。下がっているとき、前の人の後輪から離れないこと。
  • 2列ローテーションの最後尾になる前に加速を始めること。
  • ドラフトが一番利用できる位置にいること。そっと動いて確認しましょう。
  • 急な動きは厳禁。

 

2列ローテーションは難しい走り方です。選手個々の技量も高くなければなりませんし、集団全体もしっかりまとまっている必要があります。ふつうの1列ローテーションと同じで特に難しい動きは20秒から30秒に1回くらいですが、全員が動きつづけていることに注意が必要です。2列ローテーションをしながらアップダウンを走ったりコーナーを曲がったりしてみれば、きれいに2列ローテーションを回しながらレースをするのがどんなに難しいことなのか、多少なりともわかるはずです。体力的にも難しいのですが、精神的にもとても難しいのです。練習が必要です。

 

自転車レースの駆け引き(RTC)表紙

※この記事は、『自転車レースの駆け引き』井口耕二訳・OVERLANDER株式会社(原題:『RACING TACTICS FOR CYCLISTS』トーマス・プレン、チャールス・ペルキー著・velopress)の立ち読み版です。『自転車レースの駆け引き』は、ロードレースやクリテリムで上手に走り賢く戦うための戦術・テクニック・スキルを、豊富なイラストを用いてわかりやすく解説した好著です。

※本件記事用に、本文を一部加筆修正しています。

 

■著者:トーマス・プレン

1970年代初頭から長年自転車競技にかかわる。アマチュアとして、また、プロとして長いキャリアを誇り、1986年にはUSPRO選手権で優勝。また、レッドジンジャー/クアーズクラシックの13回すべてを完走した数少ないサイクリストとしても知られている。全米選手権で常に上位に入る実力の持ち主で、1982年全米タイムトライアル選手権優勝チームのメンバーでもある。現在、コロラド州ボールダー在住。キャットアイ・サービス&リサーチセンターで所長を務めるとともに、みずから立ち上げた消費者調査とコンサルティングの会社ボールダースポーツリサーチの社長を務めている。自転車製品供給者協会の副会長でもある。常勤の職をふたつ兼務し、家族もいるが、ふつうの人がガレージセールに行くような熱心さで、いまも週末にはレースに参戦している。

 

■訳者:訳者:井口 耕二

翻訳者。1959年生。東京大学工学部化学工学科卒、オハイオ州立大学大学院修士課程修了。53歳でロードバイクに乗り始め、ニセコクラシック年代別3位、UCIグランフォンド世界選手権出場など、ロードレースを中心に活動している。訳書に『スティーブ・ジョブズ I・II』(講談社)、『ランス・アームストロング ツール・ド・フランス永遠(とこしえ)のヒーロー』(アメリカン・ブック&シネマ)などがある。