超回復の繰り返しが体力を向上させる
トレーニングの強度やボリュームが適切で、適切な休養が取れれば、もとの体力のレベルを少し超えたレベルまで回復がすすむいわゆる「超回復」が起こる。体力を向上させるにはこの超回復の効果が続いている間に、ふたたび適切なトレーニング強度とボリュームをかける必要がある。■この記事は、旧サイトからの移行分です(2011.10.02の記事です)■
超回復を効果的に利用する方法
■理想的なトレーニングとは
超回復効果があらわれる前にトレーニングをしてしまうと、体力は逆に徐々に低下してしまう。また超回復効果があらわれても、そのタイミングで適切な負荷をかけなければ、もとのレベルに戻ってしまう。理想的なトレーニングとは、「超回復の効果が続いている間に適切なトレーニングを行い、よい休養をとる」というサイクルを繰り返し「少しずつ体力を向上させていくこと」と言える。
■Eat well, Sleep well, Train well(よく食べ、よく眠り、よく練習しろ)という格言
これは「Eat well, Sleep well, Train well.(よく食べ、よく眠り、よく練習しろ)」という自転車の格言にもあてはまる。もっと速くなるためについつい追い込むことばかり考えてしまいがちだが、回復まで含めて練習の一環であると強く意識することで、練習効果をもっと高めることができるだろう。
■トレーニングに計画的に「回復」を織り込む
ピリオダイゼーション(期分け)の手法では、3週間に練習後に1週間程度回復週を挟むといったように、回復をトレーニング計画に盛り込むことが多い。これはトレーニングに計画的に「回復」を織り込むことで、超回復を促進しオーバー・トレーニングに陥るのを未然に防ぐことを狙ったものといえる。
■ATL・CTL・TSBでのトレーニング管理
回復力には個人差があるので、「どの程度の期間・どの程度の頻度で回復日を設定すればよいか」についての、誰もが使える「黄金のレシピ」は残念ながらないと思われる。そこで最終的には「身体の声」に耳を澄ませて自分自身で判断するか、コーチと相談して決めるというのが現実的な選択肢だろう。もしパワートレーニングをしているのであれば、ATL・CTL・TSBといった指標を参考にするのも有効な方法のひとつといえる。
参考文献
- 長谷川裕著・『スポーツ動作と身体のしくみ』・P116~118・ナツメ社