高強度の練習やレース後6時間は、免疫力が低下する危険な時間帯
グレッグレモンらを育てた名伯楽E・ボリセヴィチ氏は著書の中で「優秀なライダーは風邪をひきやすい」と述べている。これは「ロード・レーサーのように体脂肪率が異常に低いと免疫系に異常をきたすことがあること」を経験的に知っていたからだと思われる。このように、ただでさえ風邪を引きやすい傾向にあるロード・レーサーが、より風邪を引きやすくなるタイミングがある。それは、高強度の練習やレースの直後だ。
高強度の練習やレース後6時間は、免疫力が低下する危険な時間帯
■高い負荷の運動直後には免疫力が低下する
「もっと速くなりたい!」と思うのであれば、身体に適度な負荷をかけなくてはいけないが、高強度・長時間の練習やレースでは、身体に過度な負荷がかかることが少なくない。こういった場合には、身体は「筋肉の損傷」「筋グリコーゲン貯蔵量の低下」といったことに加えて「免疫力の低下」が起こっており、身体は運動開始前よりもかなり弱った状態にあるのが普通だ。
■練習やレース終了後6時間は、公共の場を避け・手洗いを励行する
特に危険なのが、練習やレース終了後の6時間だ。
この間は、免疫力が特に低下する時間帯なので、風邪などにかかりやすい状態になっているので注意が必要だ。できればこの時間帯は、細菌との接触を最小限におさえるために、不特定多数の人が大勢いるような公共の場を避けたほうがよい。しかしレース後の移動や懇親会などによって、それが現実的でない場合も多々あるだろう。そういった場合は、頻繁に手洗いをし、顔に手を触れないようにする、といったことを心掛けるだけでも違ってくるだろう。
■風邪を引かないように細心の注意を払うことが重要
「優秀なライダーは風邪をひきやすい」とはいうものの、風邪を引いてしまうとせっかく地道に積み上げてきた有酸素運動能力がかなりの速度で失われてしまう。その意味では「トレーニングが終わった時点では身体はトレーニング前よりも弱っている*」ことを強く意識して、練習後の体調管理に万全を期し、回復を少しでも早めるよう努力することも重要な練習の一環といえるだろう。
*この練習やレースで弱った体は、適切な栄養と睡眠によって回復させることで初めて運動前の状態よりも強くなる。きつい運動強度で追い込んだだけでは身体はまだ強くなってはいないので、その点は注意が必要だろう。
参照URL
- 肉体改造研究所(筋トレ&ダイエット)・
『風邪をひきやすいトレーニー?』
http://www.know-dt.com/TrainingARC/life_train/002cold1.html - 『風邪の戦略的予防法』・
http://www.know-dt.com/TrainingARC/life_train/003cold2.html - 鍋倉准教授の楽しく走ってステップアップ講座・『第53回 ランナーは風邪をひきやすい?~運動と免疫力の意外な関係』
http://www.jognote.com/column/stepup/back/2008-02-13.html - YAHOO!知恵袋・『体脂肪率が低い人は体調を崩しやすいのでしょうか?』
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1115625191 - 土川内科小児科・『かぜの予防法』
http://www.nms.co.jp/cold/kaze7.htm
参考文献
- E・ボリセヴィチ著・『勝つための自転車レーステクニック』・P271~272・並木書房
- ジョー・フリール著・児島修訳・『サイクリスト・トレーニング・バイブル』・P392・OVERLANDER株式会社