最大心拍数の変化のメカニズム
ロード・レースに出場している選手であれば、経験的に気づいているかも知れないが、個人の最大心拍数はシーズン中にかなり変動する。
最大心拍数の変化のメカニズム
■VO2maxが増加するにつれて最大心拍数は低下する
これは大学の調査論文*でも示されており、有酸素運動容量(VO2max)が増加するにつれて、最大心拍数は低下する。
*ブリティッシュ・コロンビア大学のザヴォルスキー氏の調査論文:Zavorsky, G.S. 2000. Endurance and possible mechanisms of altered maximum heart rate with endurance training and tapering. Sports Med 29(1):13-26
■トレーニングの影響で最大心拍数は3~7%程度変化する
オフシーズンを終え、トレーニングを再開したばかりの時は、有酸素運動能力が落ちているので最大心拍数は上がる傾向にある。その後、レースに向けて練習を積み体力が向上するにつれて最大心拍数は低下していく。トレーニングの影響によって最大心拍数は3~7%程度変化する。
例えば、ある選手の最大心拍数が基礎期間の最初に200bpmでであった場合、最初のレースまでに186~194まで下がると予想される。
■最大心拍数低下のメカニズム
この変化は、体力の向上に伴い心臓の1回拍出量(心臓が一回の鼓動で送り出せる血液量)が増加し、拍出効率が向上することによるものと考えられる。運動時に筋肉が必要とする酸素やエネルギー源を含んだ血液がより多く心臓から送り出されるようになるので、1分間あたりの心臓の拍動回数が少なくなるという理屈だ。体力が低下するとその逆が起こる。
■最大心拍数をベースにした練習の注意点
それゆえにトレーニング・ゾーンの設定の際に最大心拍数をベースにすると、体力の変化に応じてトレーニング・ゾーンが適正でなくなってしまう可能性があるので注意が必要だ。
参考URL
- Joe Friel・『Max Heart Rate and Fitness』
http://www.joefrielsblog.com/2011/06/max-heart-rate-and-fitness.html