限界まで鍛えたらFTPはどこまで上がるか?
ロードレーサーであれば誰でも「自分のポテンシャルの限界まで鍛えたらどのレベルまで到達できるか?」が気になるのではないだろうか。今回は、『FTPのポテンシャル上限推定値計算シート』を紹介する。まず最初に「FTP(のパワー・ウェイト・レシオ)を上げる方法」を整理すると、大きく分けると以下の3種類のアプローチがあると考えられる。
FTPのポテンシャル上限の推定
■FTP(のパワー・ウェイト・レシオ)を上げる方法
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筋肉量(≒除脂肪体重)をそのままに保ち体脂肪を落とす(体脂肪率を落とす)
【方法】ダイエットなど -
VO2maxパワーを上げる(有酸素運動の『器』の大きくする)
【方法】L3~L5での練習が効果的といわれている -
VO2maxに対するFTPの比率を上げる(『器』を「疲労せずに使える比率」を上げる)。
【方法】L4下~L4・L5が効果的といわれている
■FTPのポテンシャル上限推定値の計算シート
これらの方法を駆使して、限界までつきつめた場合のFTPの上限推定値を算出するのが以下のExcelシートだ。具体的には現時点での「FTP」「体重」「体脂肪率」「VO2maxパワー」を入力するだけで、自動的に推定値が算出される。
FTPのポテンシャル上限推定値の計算シート→リンク
■計算根拠
計算根拠は以下のようなものだ。
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除脂肪体重(筋肉など)を維持したまま体脂肪率を下げていけばパワーウェイトレシオは向上するが、体脂肪率 のスポーツ選手としての下限は3%程度である。
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VO2maxは、基本的に成人になると大幅に上昇することはないが、トレーニングによりシーズン中に最大7%程度上昇することがある(ゼロの場合もある)。
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FTP*はトレーニングによってVO2maxパワーに少しずつ近づいていき、トップ・レベルの選手では80~90%にも達する。
*『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE』ではLTと記載があるが、『パワー・トレーニング・バイブル』のFTPとほぼ同じ意味で使用しているので「FTP=LT」の意味で使用。
つまり「筋肉量はそのままで、体脂肪率を3%まで下げ」「VO2maxパワーを限界まで上げ」「FTPのVO2maxパワーに対する比率をトップ・レベル並みの90%まで上げる」のに成功した場合のFTP(とそのパワーウェイトレシオ)を計算するという理屈だ。上記シートで算出されたFTPのパワー・ウェイト・レシオを「パワートレーニングサポートツール」のページにある『パワー・プロフィール一覧表』と比べると、自分がどのレベルまで到達できるかをおおよそ推定できる。
■注意点
理屈上の数字なのであくまで参考まで。
特に成人以下の成長期にあたる選手は大幅にVO2maxが上昇する可能性があるので、あてはまらない可能性が高い。またアームストロングのように成人後かなりたってからVO2maxがさらに上昇する例もある。
VO2maxパワーは専門の施設で計測した正確な値を用いるのがベストだが、MAPテストで調べる方法や、簡易的には5~10分の最大パワーを入力する方法がある。
■保守的に見積もつ場合に使用する数字
また保守的に見積もる場合は、以下の数字を用いた方がよいだろう。
■入力・要約シート
- VO2maxパワー:10分の最大平均パワー
■詳細シート
- 目標体脂肪率:7%
- VO2maxパワー上昇幅:0%
- VO2maxパワーに対するFTP比率の上限:80%
参考URL
- TARMACBLOG
http://tarmac2006.blog103.fc2.com/blog-entry-256.html - bike training tips.com・『Great training sessions #1: The MAP test』
http://www.biketrainingtips.com/2011/06/great-training-sessions-1-map-test.html
参考文献
- Joe Friel著・『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE』・P29・velopress
- 柿木克之さん指導・監修・「パワートレーニングで一歩先ゆくベースアップ」・『funride』2009年11月号・P40・株式会社ランナーズ
- ハンター・アレン アンドリュー・コーガン博士・『パワー・トレーニング・バイブル』・P79・OVERLANDER株式会社