MAPの競技レベル別のパワー・ウェイト・レシオ
MAP(Maximal Aerobic Power:最大有酸素パワー)は、VO2max(最大酸素摂取量)に達する時のパワーのことで、有酸素運動能力の上限と考えられている。今回は『Performance Cycling: The Science of Success 』を参考に、MAPの競技レベル別のパワー・ウェイト・レシオを紹介する。
MAPの競技レベル別パワー・ウェイト・レシオ(PWR)
以下がMAPの競技レベル別のパワー・ウェイト・レシオの目安となる。
競技レベル | MAPのPWR(W/kg) |
世界レベル | 6.5~8.0 |
エリート | 6.0~7.0 |
かなりトレーニングしている | 5.0~6.0 |
トレーニングしている | 4.0~5.0 |
■MAPはコーガン方式のL6に相当
MAPはコーガン方式ではL6に相当するとbike training tips.comで紹介されている(→関連記事へのリンク)。一方で『パワー・トレーニング・バイブル』には、MAPから競技レベルをチェックする目安は示されていない。その意味では、上記の表を参考にすることで『パワー・トレーニング・バイブル』がカバーしていない「MAPのレベル」をチェックすることができるだろう。
■注意点:持久的パフォーマンス推定の「おおよその目安」
注意点としては、ロード・レースの競技レベルに直結する「持久的パフォーマンス」にはFTPの水準が大きく影響するが、これはMAPに対する比率でみると個人差がかなりある点だ。
例えば、MAPのパワー・ウェイト・レシオが同じ6.1W/㎏(MAP:400W・体重:65㎏)の選手AさんとBさんがいたとする。この場合、有酸素運動能力のポテンシャルはAさんもBさんもほぼ同じくらいと考えられる。
一方で持久的パフォーマンスに大きく影響のあるFTPのパワー・ウェイトレシオを見てみると、Aさんが4.9W/㎏(MAPの80%・320W)でBさんが4.3W/㎏(MAPの70%・280W)だったとする。この場合、Aさんの方がBさんよりもFTPのパワー・ウェイト・レシオが高いので、持久的パフォーマンスが高いと考えられる。つまりMAPのパワー・ウェイト・レシオが同じであっても、「持久的パフォーマンス(≒ロード・レースの競技レベル)」には、かなりの差があるといったケースも考えられる。
その意味では、上記区分けは「持久的パフォーマンス(≒ロード・レースの競技レベル)」を推し測るといった観点からは「おおよその目安」程度に考え、ある程度オーバラップ(重複)や誤差がありえることを頭に入れておいたほうがよいだろう。
参考文献
- JAMES HOPKER, SIMON JOBSON編・『Performance Cycling: The Science of Success 』・P43・BLOOMSBURY