テスト実施の前のガイドライン
自分の体力が向上しているかを確かめるためには、定期的にFTPなどのテストを行う方法が有効だ。同じテスト・メニューに取り組むだけでもある程度の傾向がつかめるが、テストの時の条件をなるべく同じにすれば、より正確にテスト結果を比較することができるだろう。今回は『PERFORMANCE CYCLING』などを参考に、テスト実施前のガイドラインを紹介する。
テスト実施前のガイドライン
■テスト前に疲労を抜く
テスト実施前の日は軽めに練習するか完全休養日にする。こうすることで疲労を抜いて元気な状態でテストに臨めるだろう。WKO+やゴールデン・チーターなどを使っている場合は、TSBやSBが同じような値の時に実施するというのも一案だ。
■テスト直前2時間は食事をしない
消化不良はパフォーマンス低下につながるので、テスト直前の2時間は食べ物を口にしない。
■テスト前24時間の食事内容を毎回同じにする
テスト直前の24時間は、なるべくいつも同じ食事内容にする(含むドリンク)。レース当日と同じように、テスト日には体内にグリコーゲンが十分貯蔵されており、水分補給も万全な状態になるよう調整する。
■テスト中のドリンクは同じものを使う
テスト中に口にするドリンクは水だけにするか、スポーツ・ドリンクを使う場合は毎回同じものにする。カフェインは持久的パフォーマンス向上に効果があるといわれているが、純粋な身体能力をテストのためには、直前に飲むことも含めて、避けたほうがよいだろう。
■アルコールは控える
アルコールは、無酸素運動能力・有酸素運動能力のいずれにも悪影響を及ぼすといわれている。アルコールの分解能力には個人差があるが、テスト前の24時間はアルコールの摂取を控えたほうがよいだろう。
■風邪や病気の直後にはテストをしない
風邪や病気の直後に無理をして自分を限界まで追い込むようなテストをすると、ぶりかえしてしまうリスクがある。直前2週間に風邪を引いたり病気にかかっていた場合、テストはしないほうが無難だろう。
■実走でテストする場合は、テストの妨げとなるものが少ないルートで同条件下で行う
実走でテストする場合は、天候や路面状態が可能な限り同じ日に行う。路面状態が滑りやすい時や、向かい風が強い時は不適当なので回避する。また交通量が少なく、見通しがよく(急なカーブがなく)、信号や交差点が極力ないルートで行う。
■ローラー台でテストする場合は、空気圧などに注意する
ローラー台などを使って室内でテストする場合は、メーカー推奨の正しい使用方法で行う。特にタイヤの空気圧やタイヤと負荷装置の距離の設定は、転がり抵抗などに影響するので注意したほうがよいだろう。
参考文献
- JAMES HOPKER, SIMON JOBSON編・『Performance Cycling: The Science of Success 』・P41・BLOOMSBURY
- メルビン・ウィリアムス著, 樋口満監訳・『スポーツ・エルゴジェニック』・P138~140, P171~175・大修館書店