マッスルメモリー(筋肉の記憶)のメカニズム

【筋トレ・ストレッチ】2012年4月12日 19:41

マッスルメモリー(筋肉の記憶)という言葉を聞いたことがあるだろうか。これは「トレーニングを長期間中断し、筋力や筋肉量が少なくなっても、練習を再開すると以前の筋力・筋肉量まで比較的早く戻せる」というものだ。例えば、落車の怪我の影響で3か月練習できず、3年かけて鍛え上げた足の筋肉がゲッソリ細くなってしまったとしても、元のレベルまで戻すには(3年でなく)半年で済んだ、といったケースが該当するだろう。これはスポーツ選手の間では昔から経験的に知られていたものの、その仕組みは長い間よくわからなかった。しかし2010年に動物実験によって「マッスルメモリー」の存在が確認され、そのメカニズムが解明されつつある。今回は、現段階でわかっているマッスルメモリーのメカニズムを『石井直方のPyhsical Training』や『トレーニングマガジンン Vol.21 』を参考に紹介する。


マッスルメモリーのメカニズム

■筋肉が太くなるには筋繊維が太くなる必要がある

まず大前提として、筋肉が太くなるためには、筋肉を構成している「筋繊維」が太くなる必要がある。この筋繊維は長さ数センチにも及ぶ巨大な細胞で多くの核(「筋核」という)を持っている。

■筋繊維が一定以上に太くなるには筋核の増加が必要

最近の研究で、1つの筋核が支配できる細胞の体積に上限がある(筋核の数が増えない限り筋繊維が肥大できる程度に上限がある)ことがわかってきた。つまり、ある一定以上に筋繊維が太くなるには筋核が増えることが必要になる。

■筋核はかんたんに減少しない

この筋核は筋力トレーニングによって増加することが確認されており、また一度増えた筋核はそうかんたんに減少しないことも確認されている。

■過去に筋核を増やしたことがある場合は比較的素早く筋肥大する

つまりいったん筋核を増やしたことがある選手は、筋力トレーニングなどにより筋核を増やす手間(通常はかなりの期間を要する)を省けるので、初心者など筋核がすくない選手に比べて、筋繊維が比較的素早く肥大しやすいのだと考えられている。

 

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参考文献

  • 比嘉一雄解説・「"筋肥大"の基礎知識」・『トレーニングマガジンン Vol.21 』・P84・ベースボール・マガジン社