引き足をまったく使わなければマイナストルクが発生する
「ペダリングで引き足を使うべきなのか不要なのか?」、「引き足を強化しペダリングをスムーズにするために、パワークランクを導入したり片足ペダリングをすることは有効なのか否か?」といったことについては、様々な意見があり「サイクリスト全員が納得する統一見解」は今のところ見当たらないように思われる。
引き足をまったく使わなければマイナストルクが発生する
■アップ・ストロークでの「足の重さ」と「慣性力」の影響
しかし、もし引き足をまったく使わず脱力した状態でペダリングをするとペダルが下死点(一番下)を通過してから上がるまでのアップ・ストロークの過程で、足の重さと慣性力によりマイナストルク(踏む力を打ち消すいわばブレーキ)が発生するとの指摘がある。
■マイナス・トルクを打ち消す最小限の引き足
引き足不要論の根拠のひとつに「一流選手はペダルのアップ・ストローク時にトルク(進行方向に押す力)が発生していないという研究結果」がある。しかし、マイナス・トルクが発生していないことを考えると、実際は「足の重さと慣性力を打ち消すだけの最小限の引き足」を使っている可能性が高い。
■一般選手はアップ・ストロークで力が入りすぎていることが多い
それに対して一般選手は、引き足を意識しすぎてアップ・ストローク時にトルクが発生していることが多い。つまり本来トルクをかけるべき前方や下方にトルクをかける方向と逆方向の筋肉に「力が入り過ぎている」ので、(わずかではあるものの)無駄にエネルギーを消費してしまうと同時に、ペダルに力をかけ始めるのが遅れてしまうので、結果的にペダリング効率が下がってしまっている可能性がある。
参照URL
- CYCLING TIME.com・『ペダリング技術の向上で実力は上がる?』
http://www.cyclingtime.com/modules/ctnews/view.php?p=18847
参考文献
- CYCLE SPORTS(2011年10月号)・P168, 169・八重洲出版
- CYCLE SPORTS(2005年9月号)・P94, 95・八重洲出版
- ふじいのりあき著・『ロードバイクの科学』・P48-50・スキージャーナル株式会社