ロード・レースとエコノミー
ロード・レースは勝負どころまでいかにエネルギーを温存できるかが重要になるので、燃費効率(エコノミー)が高いことは大きなアドバンテージとなるだろう。
ロード・レースとエコノミー
■エコノミーは練習でかなり高めることができる
体力を高める練習に比べてエコノミーを改善する練習はあまり重要でないように思えるかも知れないが、実はエコノミーはLT同様に練習でかなり高めることができ、レースでのパフォーマンスにも大きく影響する。また初心者ほどエコノミーの改善余地が大きいと考えられる。その意味で「エコノミーを高めるための練習」は、「体力を高めるための練習」と同様にシーズンを通して力を入れて取り組むだけの価値がある練習といえるだろう。
■エコノミーが高くなる場合
それでは、どのような場合にエコノミーが高くなるのだろうか。
『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE』によると研究の結果、以下のような場合にエコノミーが高くなることがわかっているという。
- 遅筋繊維の比率が高い(先天的な素質が大きい)
- 体重が軽い(体重と身長の関係)
- 精神的ストレスが少ない
- 機材の重量が軽く空力に優れる
- ライディング・フォームが空力に優れる(身体の前方投影面積が小さい)
- エネルギーを浪費するようなムダな動きが少ない
■疲労のエコノミーへの悪影響
疲労は、普段使わない筋肉が負荷に対応するために動員される原因になるのでエコノミーに悪影響を与える。レース前に疲労を抜いたほうがよい理由の一つがこれだ。レースの終盤で「ペダリングやハンドリング・スキルが雑になっている」と感じる時があるかも知れないが、これは疲労でエコノミーが低下している状況といえる。レースが長くなればなるほど、エコノミーは順位に大きく影響するだろう。
■エコノミーを高める方法
それではエコノミーを高めるにはどうすればよいのだろう。上記の中では、5と6が練習によって改善できる点だろう。6は、ペダリングでのムダを省くことが重点課題になると思われるが、『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE』の著者であるジョー・フリール氏は「冬の間の数か月間ペダリングのドリルに取り組み、シーズンを通してもペダリング・スキルの改善に力を入れること」を奨めている。
参考文献
- Joe Friel著・『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE』・P30~31・velopress