クランクに対する力の方向がずれた場合のロスの割合
ペダリングの際、出力効率がいちばんよいのはクランクに対して90度の方向に力がかかった時だといわれている。しかし相当にペダリング技術が高くなければ90度の方向にだけ力を入れるというのはかなり難しい。実際にはペダルが360度・1回転する間に少しずつ90度からズレが生じており、その分が積み重なってペダリング効率が落ちてしまうのが普通だろう。それでは、クランクに対して90度の角度からどの程度ずれるとどの程度のロスが発生するのだろうか。■この記事は、旧サイトからの移行分です(2012.03.01の記事です)■
松本整氏の説明
これについて『コーチング・クリニック2007年6月号』において、松本整氏*が自身のペダリングを中野浩一氏のペダリング・データと比較した興味深い記事の中で、以下のように説明している。
*2004年に45歳で競輪のG1を制覇
■クランクに対する力の方向が90度からずれた場合に力が回転のために使われなくなる割合
-
30度のズレ・・・13%
-
60度のズレ・・・50%
60度というはかなり大きなズレであり「そんなにずれることはないのでは?」とも思える。
■下死点は特に注意が必要
しかし下死点(ペダルがいちばん下にある時)で真下に力がかっている(真下にペダルを踏んでいる)場合のズレは90度にもなる。特に高強度のインターバルがかかりペダルを真下に強い力で踏みつけているような局面では、50%をはるかに超えるロスが生じている可能性も十分にあるだろう。こういったロスをどれだけ取り除けるかが「エコノミー」に(ひいてはレース結果にも)大きく影響するといえそうだ。
参考文献
- 『コーチング・クリニック2007年6月号』・P20~23・ベースボール・マガジン社