長期的なトレーニング効果を確保できるまで3か月は必要
今やっているトレーニングの効果がいつごろ出るかが、気になったことはないだろうか。「今からこのトレーニングを始めて、次のレースに間に合うのだろうか?」「今から追い込んだ練習をやってしまうと、レース前の早すぎるタイミングでピークが来てしまわないだろうか?」といったことは、特に目標のレースが迫っている場合かなりシビアな問題に思えるかも知れない。
長期的なトレーニング効果を確保できるまで3ヶ月は必要
■練習効果が出るには、短期的には3週間・長期的には3ヶ月が必要
結論からいうと、短期的にはトレーニング効果が出るまでは最低3週間、長期的な効果を確保できるまで3か月は必要といわれている。これは持久力トレーニングだけでなく、スプリント・トレーニングでも同様だ。
■タンパク質の増加や入れ替わりに時間がかかる
持久的トレーニングについていえば、持久力が向上するにはミトコンドリア(細胞内の器官)や毛細血管が増える必要がある。これらは結局「タンパク質」なので、1回や2回のトレーニングでは簡単に増えない。その増加による効果が目に見えてくるまでに最低約3週間はかかる。また体のタンパク質は90日程度で半分が入れ替わるといわれているので、本当に持久的トレーニング効果が確保できるまでは3か月かかる。
■重要レースに向けての練習は最低3ヶ月前から開始したほうがよい
トレーニング効果の特色としては、開始当初がいちばん大きく、やがて効果の幅はだんだん小さくなっていき、3か月くらいすると能力は高いところで一定に近づいていくパターンが多い。本当に重要なレースに合わせて調子を徐々に上げて行くためには、最低3か月前から逆算してトレーニングを開始した方がよいといえる。
■体力=長期的な練習効果をみる指標CTL
パワー・トレーニングをしている場合、この効果を定量的にみる指標としてCTL(長期トレーニング負荷)がある。CTLは主として過去3か月に行った練習の効果を表すもので、「体力」がどの程度高まっているかのよい目安となる。
参考文献
- 八田秀雄著・『乳酸を活かしたスポーツトレーニング』・P106~108・講談社サイエンティフィク
- ハンター・アレン アンドリュー・コーガン博士共著・『パワー トレーニング バイブル』・P195・202・OVERLANDER株式会社