シーズン初期の練習量増加ピッチ上限の目安

【期分け・練習計画】2012年1月25日 13:19

伝統的なピリオダイゼーションの方法では、基礎期間には少しずつ練習強度を上げ練習時間を延ばしていく手法を取る。今回は、このシーズン初期の段階で、むりなく安全に練習量(時間や距離)を増やしていく目安を『SERIOUS CYCLING Second Edition』を参考に紹介する。


シーズン初期の練習量増加ピッチ上限の目安

■前週比+20~25%を上限とするのが無難

シーズン初期の練習量を増やす場合の上限の目安は、前の週の練習時間や距離に対して+20~25%が無難な線だ。例えば前の週に10時間練習したのであれば、翌週の練習は10~12時間程度にする。よほど多くの時間練習できる場合(例:年間練習時間が1,000時間以上)を除いて、1週間の合計練習時間を前週比で+3時間以上増やさないほうがよいだろう。

■急激に練習量を増やし過ぎないほうがよい理由

これは次のような理由によるものだ。

練習量を増やすと身体にかかるストレスが増えるが、新しいレベルの練習のストレスに身体が適応するには通常は少なくとも数週間かかる。そこで、少しずつ増えていくストレスに対して身体がそれに合わせて調整する時間を与えるほうが、無理なく安全に練習量を積み上げられる可能性が高いからだ。


風邪などで練習できなかった場合の対処方法

しかし不運にも、風邪を引いたり怪我や故障で数日~数週間乗れなかった場合はどうしたらよいだろうか。

■取り戻そうとしないほうがよい

この場合は、その分を取り戻そうとしないほうがよいだろう。

これは残業で予定していた練習ができなかった場合も同様で、練習ができるような状態になってから、少しずつ時間をかけて練習量を積み上げていくようにする。「キャッチアップしよう」と短い期間にできなかった分まで練習を詰め込んでしまうと、身体に過度な負担がかかり新たな病気・怪我・故障の原因となりかねない。

■「トレーニング」「走行距離」「休息」のバランスが重要

練習計画にこだわることもある程度大事だが、何㎞走ったかを記録することが最終目的ではないだろう。いちばん大事な「レースでよい結果を出す」ためには、「トレーニング」「走行距離」「休息」のバランスをうまく取ることに力点を置くことが大切といえる。

 

参考文献

  • Edmund R. Burke, PhD著・『SERIOUS CYCLING Second Edition』・P13・HUMAN KINETICS