筋持久力(Muscular endurance)とは、長時間にわたり高負荷に耐える筋肉の能力のこと【CTB】

【期分け・練習計画】【立ち読み版】2014年10月1日 00:01

前述の三角形を、さらに細かく定義します。基本となる「持久力」「筋力」「スピード・スキル」が角にありますが、三角形の各三辺は、より高度な能力(専門能力)を表します。これらは、ベテラン選手が十分な基礎能力を身につけた後に、重点的に強化する能力です。

 

筋持久力(Muscular endurance)とは、長時間にわたり高負荷に耐える筋肉の能力のこと

■ロード・レースのパフォーマンスには必要不可欠な能力

筋持久力とは、長時間にわたり高負荷に耐える筋肉の能力のことで、基礎能力の「筋力」と「持久力」が組み合わさったものです。サイクリングでいう筋持久力とは、長時間、重いギアを回し続ける能力を指します。ロード・レーサーには、この能力が不可欠です。筋持久力があれば、苦しまずに集団で高速巡航でき、タイム・トライアルのタイムが短縮し、一定の勾配が延々と続く峠でも先頭集団についていくことができます。優れた筋持久力は、重いギアを踏んでいる時の疲労抵抗力の高さでわかります。ロード・レースのパフォーマンスには必要不可欠な能力であり、基礎能力である持久力同じようにトレーニングする必要があります。

■筋持久力の鍛え方

筋持久力トレーニングの土台作りの練習では、まず三角形の 2つの角である「持久力」と「筋力」を向上させます。この 2つの能力がしっかり高まった後で、筋持久力トレーニングを開始します。まず、通常より重いギア(筋力)で長時間踏み続けます(持久力)。はじめは運動強度をあまり上げず、LTのかなり下の強度を維持しますが、徐々に LTに近づけ、繰り返し LTを超えるメニューに移行します。シーズンはじめの、トレーニングが進むにつれてインターバルを徐々に長くしていく一方で、回復走は短いままにします。最終的に回復走は練習時間の 4分の 1程度に留まるようにします。

 

※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■

 

著者紹介

ジョー・フリールジョー・フリール

ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。

本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。

『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。

フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。

 

訳者紹介

児島 修

1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。