リミッターと出場するレース種類の関係 ~レースが長くなるほど、基礎能力が重要になり、レースが短くなるほど、専門能力が重要になる~【CTB】
前述したように、出場するレースの種類によって、どのような強みが必要であるかや、どのような弱点がリミッターとなるかが変わります。勝利のためには、レースで必要となる能力にうまく合わせて能力を養成することが不可欠です。これを実現するための方法を説明しましょう。
■レースで必要となる能力を決定づける要素
レースで必要となる能力を決定づけるいくつかの要素があります。レースではコースの長さや地形の特徴が異なります(山、カーブなど)。また風、気温、湿度なども違います。おそらく、ロード・レースでいちばん重要な変動要因は、ライバル選手でしょう。もっとも重要な大会に必要な能力と体力がうまくかみ合えば、最高の結果を出せる確率が高くなるでしょう。
■長距離レースと短距離レース
レースが長くなるほど、基礎能力が重要になります。反対に、レースが短くなるほど、専門能力が重要になります。
長距離レースに備える場合は、持久力がもっとも重要ですが、山岳コースを乗り切るためには筋力も必要です。また、優れたスピード・スキルを磨き燃費効率を高めれば、エネルギーの浪費を抑えられます。長距離レースでは筋持久力が重要な役割を果たしますが、無酸素持久力とスプリント・パワーのトレーニングはあまり役に立ちません。
同様に、クリテリウムのような短距離レースでは専門能力、中でも無酸素持久力とスプリント・パワーが重要です。持久力と筋力も必要ですが、長距離レースほどではありません。スピード・スキルのトレーニングは、短距離のレースには不可欠です。また、筋持久力も役立ちます。
重要な大会に向けたトレーニングでは、まず勝つために何が重要かを見極め、大会で必要となる能力に合致する強みを維持しつつ、リミッターを強化していくことがポイントになります。
※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。