少なくとも週に1度は自分の能力の最大限まで追い込む
レースで勝つのは、最良のコンディションであってもひじょうに苦しいので、よほど集中し勝利への執着がなければ優勝するのは難しい。ロードレースでは、優勝した選手の方がその他の選手よりも疲労困憊しているケースが多いが、それは自分の力を100%出し切っている証拠といえる。多くの選手は自分の全力の70~80%までは呼び出せるが、100%まで絞り出せる人は少ないように思われる。しかしトレーニングでこのレベルを高めることはできる。
自分の全力を100%まで絞り出せるようにするための練習
■苦痛閾値を上げる練習
今の自分の力の100%を超えて引き出せるようになるには、少なくとも週に1度は自分の能力の最大限まで追い込むという方法がある。
例えば、決まった曜日に定期的に2分や5分のインターバルで自分の限界に挑戦するとよいかも知れない。これはかなりきつい練習なので、肉体と精神の両方を鍛えられるだろう。ある意味「苦痛閾値」を上げる練習と言えるが、一朝一夕には上がるものではないので、継続的に取り組んでおけば大きなアドバンテージになる可能性がある。
■レースの一番厳しい局面を練習で再現する
もしレースのパワーデータがあれば、レースの勝負がかかった一番厳しい局面のパワー・レベル(持続時間・パワー水準・パワーの出し方<トルクとケイデンスの組み合わせ>など)を調べ、それを練習で再現してみるとひじょうに効果的だろう。
■プロの追い込みぶり
プロのブログを読んでいると
「息を吸えている感覚がある内は追い込みが足りない」
「苦しくなってからさらに追い込む」
「酸欠で頭が真っ白になる」
「チームのみんなが坂の途中で吐きまくっている」
といった表現を目にすることがあり、すさまじいばかりの追い込みぶりが伺い知れる。
参考文献
- E・ボリセヴィチ著・『勝つための自転車レーステクニック』・P250~251・並木書房