レース前のウォーミング・アップを最適化するためのヒント

【レース対策情報・レース戦術】2012年9月13日 07:00

レース前のウォーミング・アップには様々な方法があり、「合う」「合わない」の個人差もあるので自分にとって適切な方法を見つける必要がある。しかし、気温やレースの種類などによって考慮したほうがよい一般的なポイントや対応策はある。今回は様々な状況に応じてウォーミング・アップの手順を最適なものに調整するためのヒントを『Cutting-Edge Cycling』紹介する。

 

レース前のウォーミング・アップを最適化するためのヒント

■気温が高い場合

気温が高い場合にウォーミング・アップを念入りに行いすぎると、体がオーバーヒートした状態になったり、脱水症状になったりするリスクがある。

これを防ぐには、ウォーミング・アップの時間を短縮するか、思い切って行わないという方法が考えられる。また体を冷却するために以下のような方法を駆使するのも一案だろう。

  • 日差しを避ける
  • ローラーでなく実走でアップする(風による冷却効果を狙う)
  • ローラーを使う場合は扇風機を使用する
  • 冷たいドリンクを飲む

■気温が低い場合

気温が低い場合には、せっかく体を温めたにも関わらずすぐに冷えてしまい、ウォーミング・アップの効果が消失してしまう可能性がある。

対策としては、ウォーミング・アップの時間を長めにとることや、アップ終了からレースのスタートまでの間隔をなるべく短くするように調整するといった方法がある。またスタート直前までなるべくたくさんの服を着込んで体を温かく保つのも有効だろう。

■レース・スタート直後から高強度のインターバルがかかると予想される場合

クリテリウム、シクロクロス、マウンテン・バイクのように、スタート直後からいきなり高強度のインターバルがかかるようなレースの場合は、ウォーミング・アップが不足していると酸素の摂取・運搬能力が不足してしまうリスクがある。

そこで、そのようなレース展開が予想される場合には、入念にウォーミング・アップしておくと同時に、高強度のインターバルを織り交ぜ神経系にも刺激を入れることで、足の反応を高めておいたほうがよいだろう。

■体力レベルに応じた調整

体力レベルが違えば、体温の上昇速度や疲労抵抗力も異なると考えられる。

体力レベルが高い場合は、体温を上昇させ有酸素系の代謝の準備を整えるためには、長めのウォーミング・アップが必要な場合が多い。

そのような選手は、多少長めにウォーミング・アップをしても、体内のエネルギー貯蔵量が大幅に減少するリスクは少ないと考えられるが、汗を大量にかくことで脱水症状につながるリスクがあるので、その点は注意が必要といえる。

あまり鍛えてない場合は、レース前に無駄に疲労しないために、ウォーミング・アップは手短にしたほうがよいだろう。

 

参考文献

  • Hunter Allen, Stephan S. Cheung, PhD共著・『Cutting-Edge Cycling』・P131・HUMAN KINETICS