[ PR ] JPT選手のパワー・データを拝見:小室雅成選手 西日本チャレンジサイクルロードレース [ sponsored by powertap 正規輸入・販売元 キルシュベルク ]

【プロ選手のパワー情報】【レース対策情報・レース戦術】2015年7月1日 16:51

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■小室選手の紹介

高校3年で「ヨーロッパでプロ選手になりたい」という夢を持ち、フランスでの武者修行などを経験しながらも「重度のオーバートレーニング症候群」のため競技を中断。その後復帰して、2012年の「JBCF いわきクリテリウム」で優勝するなど、40歳を越えた現在もなお現役のJPT選手として活躍中の小室雅成選手。同選手のパワー・データを、本人のレポートとパワー・データの分析結果を紹介します。

今回は、2013年3月に開催された「第18回西日本チャレンジサイクルロードレース」です。

 

小室選手のレポート

■概要 :2013.03.17(日)第18回西日本チャレンジサイクルロードレース

  • 1時間33分、60.6km、1,254kJ、162.5TSS
  • A-E:17位(完走57名/出走70名)

■6年ぶりの出場・表彰台が目標

広島県中央森林公園サイクリングロード(1周12.3km)にて、第18回西日本チャレンジロードレース大会が開催された。

以前に出場したのは2007年。

その時は4位だったので今回は表彰台を目指してスタート!

■スタート直後からマトリックスが支配

レースはスタート直後からマトリックスが支配。61.5kmと距離が短いため、序盤のアタックをチェックしながらチャンスと見るや抜け出しを試みる。

しかし、3月に入ってからやや足が重い日々が続いており高負荷の持続が難しい状態のため、アタックを決めることができない。

春先は毎年必ずこんな状況に陥るので、花粉の影響があるのかもしれない。

■2周目、3周目に先頭集団ができあがる

さて、レースは2周目にマトリックス3人+マッサ?が抜け出し、さらに3周目のホームストレートで白石さん(シマノドリンキング)他数名が抜け出して前の選手たちに合流し、8人の先頭集団ができあがる。

ここに入らなければならなかったのだが、高負荷の持続だけでなく最大ワットも好調時に比べると低めなためアタックにもキレがなく、この時の動きに対応することができなかった。

■メイン集団との差が広がり勝負が決まる

集団との差はしばらくの間は20~30秒程度だったが、前では上手く協調体制が整い始めたと見え、その後、メイン集団との差は1分20秒まで広がってしまう。

このレースの距離でこの差はすでに勝負あり!

あとは集団の頭を取るべく気持ちを切り替えて走る。

■4周目、3段坂で下から仕掛ける

4週目の3段坂で下から仕掛けて、頂上では真鍋さん、阿部さんを含む5~6名で抜け出せるかに思えたが後ろを完全には引き離すことが出来ず、下りきったところで再び集団化。

■最終周回、ロング・スプリントを敢行!

そして、アッという間に最終周回の5周目に突入!

集団のままアップダウン区間を終えて最後の三段坂へ…。

ここでもアタックがあるものの、集団が長く伸びるにとどまり集団スプリントへ!

最大出力が低調だったこともあり、最後のホームストレートに入る前の二つのコーナーを使って少しでも集団を引き離そうとロングスプリントを敢行!!

これは上手く行き、「集団の頭をとったか!?」と思えたが、ラスト20mほどでタレてしまい、一気に7~8人に抜き去られ17位という成績に終わった。

■反省点、レース勘が鈍っていた

反省点は、しばらくぶりのレースで少々レース勘が鈍っており、勝負所で「誰が前に行っているのか?」をきちんと把握できておらず、また最後のロングスプリントも仕掛けどころをもう少し冷静に判断できれば、少なくとも一桁には入れたかもしれない。

レースに「たら・れば」はないが、開幕のレースで上手くいかなかったことを4月のレースで生かせるよう、今回の反省を心にとどめておこうと思う。

 

パワーデータのサマリー

小室選手のパワーデータのサマリーです。WKO+とGolden Cheetahのデータを加工したものです(注:FTPは暫定値です※)。

※注:小室選手の記事については、パワーデータのサンプル数が少なく、テストも未実施であったため、FTPの暫定値として小室選手の自己申告値である280Wを使用しています。他方、1時間30分強のレース(西日本チャレンジ)のNPが287Wであったことから、実際のFTPは、290~300Wの範囲内と推測されます。以上を踏まえ、TSSやゾーン(L1~7)の分析には若干の誤差があると考えられますので、その点ご注意ください。

■量

走行時間 1:32:49
距離 60.6km
獲得標高 996m
平均速度 39km/h

■強度

IF 1.027
VI 1.28

■負荷(量+強度)等

TSS  162.5TSS
仕事量 1,254 kJ

■NPと平均パワー

NP 287W(4.63W/kg)
平均 225W(3.63W/kg)

■ゾーン別の時間

ゾーン時間割合範囲
L1 35:16 38% 0~154W
L2 08:21 9% 154~210W
L3 07:26 8% 210~252W
L4 09:1710% 252~294W
L5 08:219% 294~336W
L6 12:60 14% 336~420W
L7 11:08 12% 420W超

■平均値と最大値

項目平均最大
パワー225W932W
PWR3.63W/kg15.03W/kg
ケイデンス85rpm173rpm
速度39.2km/hn.a.

 

パワー・データのグラフの解説、計算機等

同日の小室選手のパワー・データのグラフの解説や計算機などです。

■CP(クリティカル・パワー)

黒の実線が、同日のデータを示しています(右の白地との境界線は、2013年4月末までのデータを含む個人ベスト)。最大パワーは932Wで、15秒の手前まで傾斜がなだらかな点が特徴的です。ここから800W超の高いパワーを15秒にわたって持続するスプリント的な局面があったことがわかります。これはデータ上では、ゴール手前の最後の上りに入る局面で、小室選手の記述「ロングスプリントを敢行!!」した区間だと思われます。

また15~30秒の間は約750W近辺でほぼ水平になっており、750W付近のパワーを絞り出しそのまま維持する厳しい局面があったことが伺えます。これはデータ上では、1周目の3段坂の3段目の入り~山頂手前までです。

30秒以降は、急激に傾斜がきつくなっており(=パワーが低くなっており)、レース中に極端に高いパワーが必要になるアタックは30秒程度までだったことがわかります。

■【計算機】時間別ベスト・パワー

レース中のあらゆる(持続)時間別のベスト・パワーをグラフ化したのが、上のCPグラフです。その中で代表的な時間別のベスト・パワーを抽出したものが、以下の表です。

体重 kg

体重を入力し「計算」ボタンを押すと、小室選手と同じPWRを出した場合のパワーが自動的に計算されます。このレースでの「パワー面での必要条件の一部*」を確認できます。

*他にも「●秒、●Wを●回」といった頻度(回数)も重要になります。

「自分であれば対応できただろうか?」「今の実力では対応できないとしたら、どの持続時間でどの程度差があるのか?」といったことの考察にご活用ください。

単位:W(PWRはW/kg)

時間小室選手PWR換算パワー
最大93215.0
5秒88914.3
10秒81813.2
20秒74011.9
30秒68211.0
1分4727.6
2分3515.7
5分3285.3
10分2874.6
20分2634.2
30分2534.1
60分2363.8
1時間35分1843.0

■主要インターバル:3段坂

距離はいずれも2.2km、平均と最大はいずれもパワー(W)

No.時間平均W/kg最大rpmkm/h
15:002974.798808827.0
24:453074.956738426.8
35:002834.565278426.8
44:513255.245568027.3
54:452994.826298928.7

3段坂は、いずれの周回も5分以内で平均283~307Wとそれほど高くないように思えます。

しかし実際には各坂の入り口や頂上付近などで、断続的に高強度のインターバルがかかっており、最大パワーは最低でも527W(3周目)、最高は880W(1周目)を記録しています。

■ライド図

◆スムージング(平滑化):5秒

5秒でスムージングをかけたパワーデータです。5秒、600W超の高強度のインターバルがかかった局面は、全部で8回程度です。

1~2周目と、最終5周目に集中しています。またほとんどが坂の頂上付近に集中しており、いちばん足がきつくなる局面でインターバルがかかっていたことがわかります。

◆スムージング(平滑化):30秒

30秒でスムージングをかけたパワーデータです。3段坂の3段目はすべて30秒、400W超になっている点が特徴的です。

◆スムージング(平滑化):60秒

1分でスムージングをかけたパワー・データです。1分、400W超は合計4回で、内2回は1周目と2周目の3段坂です。ゴール直前も1分、400Wを超えています。

◆スムージング(平滑化):2分

2分でスムージングをかけたパワー・データです。3段坂は、毎回2分、300Wを超えており、2周目までは上り局面のほとんど2分、300W近辺になっています。

◆スムージング(平滑化):5分

5分でスムージングをかけたパワー・データです。5分、300W超は、1、2、4周目の3段坂のわずか3回です。

◆まとめ

  • このレースでは、断続的に高強度のインターバルに耐えながら、(結果的に)5分間の平均で約300W(5W/kg前後)のパワーを繰り返し出せるだけの、無酸素持久力があるかどうかが重要になるといえます。
  • 特に3段坂の頂上付近のいちばんきつい局面では、毎回のようにかなり高強度のインターバルがかかるので、「足がきつくなってからもさらに上げる」練習をしておく必要があるでしょう。以下はその目安です。
持続時間等パワーPWR
全体平均・5分 300W 4.9W/kg
ラスト30秒~1分 400W 6.5W/kg
5秒 600W 9.7W/kg
最大 800W 12.9W/kg

<了>■

 

[ この記事は、powertap 正規輸入・販売元、キルシュベルクのスポンサーによるものです ]

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