パワースプリント(PS) ~スプリント・ドリル:より重いギアをより速く回せるようになるための練習メニュー~【BBC】
スプリント・パワーを強化するということは、より大きな抵抗に瞬時に打ち勝つ能力を高めるということです。つまり、より重いギアをより速く回せるようになる必要があります。
■パワースプリント行い方
パワースプリントの練習でも最初から重めのギアに入れておきますが、筋力スプリントほど重たくはしません。中程度から高速で、サドルから腰上げ、ペダルを可能な限り素早く、力強く、前と下に踏み込みます。スプリント開始時は、楽な方の足から踏み始めます。ペダルが四分円の上部を越えたら立ち上がり、練習した通りのフォームでスプリントを開始します。10秒間、または24回ペダリングするまで、最大限の運動を継続します。スプリントの間はハードな運動強度を維持しますが、そのギアを素早く回し切れるようになることを目指しましょう。パワースプリントでは、少なくとも130rpm に達するようにします。
■目標パワー値はCP0.2だが、できるだけハードに
心拍数は運動から少し遅れて変化するので、スプリント・パワー強化の練習ではパワーメーターを使用するのが最適です。パワーメーターは止めどきを教えてくれます。パワーが落ちれば、その日の練習は終わりにします。パワースプリントの目標パワー値は CP0.2(12秒間維持できる最大平均パワー)ですが、できるだけハードに、速く走ります。
■練習のバリエーション
練習にバラエティーを加えるために、高速のローリングスタートで坂を上りながらパワースプリントをしてもよいでしょう。重いギアで、高速で坂に入ります。ふもとについたらサドルから腰を上げ、ハンドルバーを引き寄せながらペダルを前に送り、下に踏み込みます。最長20~30秒間スプリントし、回復時間は長めにとります。
■パワースプリント実施時の注意点
スプリント・パワーを向上させるために、足が疲れていない練習の序盤で行い、パワースプリントの合間には、最低5分間の回復時間を挟みます。後に、優先度の高いレースが近づいてきたら、レースの最後でスプリントをかけるときの状況をシミュレーションするために、長時間のハードな練習の終わりにパワースプリントを行ってもよいでしょう。
※この記事は、『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『BASE BUILDING for CYCLISTS』トーマス・チャップル著・velopress)の立ち読み版です。『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』を下敷きにした、1年のなかでも最も重要でありながら、最も理解されにくい時期でもある「基礎期(ベーストレーニング期)」に、どのようにトレーニングすべきかを詳しく掘り下げた好著です。■