今季初レースを走る選手へのアドバイス ~PCG-Japan コーチ・ゲンのレーシングスクール~

【トレーニングメニュー】【レース対策情報・レース戦術】2017年3月22日 17:44

Peaks Coaching Group Japan

3月に入りました。今月今季初レースを迎える方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?アメリカでもレースが始まりました!今季初レースを終えたノースカロライナ州アシュビル在住のPeaks Coaching Group Japanのゲン・コグレ コーチからのアドバイスです。

 

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シーズン最初のレースは、ベテランでも緊張します。もしかしたらシーズンの中で一番緊張するレースと言っても良いかもしれません。どこまで走れるか不安で予想がつかないからです。

一度シーズンが始まってしまえば、集団の中での自分の位置が分かってくるので、「何が起こるか分からない」という不安はなくなってきます。出走するメンバーも開催される地域で似通ってくるので、ある程度予想がつくからです。

レース数が多く距離も長いプロ選手は「レースを走りながら脚を作って行く」ことが可能ですが、レース数が少なく距離も短いアマチュア選手は、全てのレースでテーマを持って走り、早めにレースのリズムに慣れておく事がシーズンを進める上で重要です。

 

サウスカロライナ州 2017ヒンカピー・スプリング・シリーズ

 

私は6月のマスターズ全米選手権に向けて、このレースをシーズンインに選びました。 全米選手権で勝負する為に、現在の仕上がりを確認したかったからです。このレースに出る若手選手に送ったアドバイスや自分自身が行った準備をご紹介します。

 

春先のレース準備のポイント

■トレーニング

冬の乗り込みとレースが大きく違うのは、ペースの変化です。これはスピードとケイデンスの変化と言い変える事が出来ます。激しいアタック合戦に対応できる能力は登りを一定のペースで走っているだけでは鍛えられません。

レースが近づいたらマイクロバーストやタバタなどのトレーニングを取り入れて激しい変化に耐えれる足を作ります。これはパワーで表現するとAnaerobic Capacity (Power Z6 121-150%、HR Z6、RPE >7)領域でのリピータビリティを鍛えると言えます。

 

■落車

春先は集団の位置取りが安定せず落車が多くなります。集団走行が久しぶりという選手も多いですし無理に割り込む選手も居ます。集団の中に居ても落車回避のスペースを確保しておきましょう。

アメリカはレース前に30-40分程度、初心者向けの集団走行を行う大会が多くあります。選手が集団の位置取りやマナーを勉強し、レースの落車を減らせるようにオーガナイザーも努力しています。日本でもこういった取り組みをしているレースが増えているようですから、春先は特にこういったレースを選んで出場すると良いでしょう。

 

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■ウォーミングアップ

トレーニングとレースは別物です。久しぶりのレースは、実際の強度よりも酷く苦しく感じる時があります。アップをしっかり行って万全の状態でスタートラインにつきましょう。

 

■機材

冬の間に新しい機材に変えた場合、バイクのチェックも入念に。よくあるのは後輪をレースホイールに変えた時にトレーニングホイールと微妙にカセットの位置が違い変速が上手く行かない事です。 調整台の上で上手く行っていても、大きな力がかかるレースではスムーズに変速が決まらない事があります。事前に実走で試しておきましょう。

その他の確認事項としては以下のようなものがあります。

  • チューブラータイヤの場合、接着がしっかり出来ているか
  • カーボンリム用のシューが上手くフィットしているか
  • パワーメーターのキャリブレーション
  • パワーメーターの充電/電池の確認
  • Di2の充電の確認

 

■ウエア

春先は気温の変化が激しく天候も変わりやすいです。レースに出場するウエア選びは万全に。特に気温の低い日はウエア選びが勝負を決めることがあります。暖かくそして空気抵抗の少ない組み合わせを考えましょう。

例:上着を増やす場合、スキンスーツの中に着込む方が空気抵抗は少なくなります。

 

■戦術

春先はピーク時に比べるとやはり若干仕上がりが甘く足に余裕がありません。その中でも戦術を組み立ててベストなリザルトを得なければなりません。それは賢く脚を使って勝つ練習になります。また集団で脚を休める能力、勝ち逃げを見極める目を養うのも大切です。

 

■コース

前年に走ったコースでも試走しておきましょう。道路が荒れている箇所があるかもしれないし、沿道に家が建って風向きが変わったりポストが立っているかもしれないからです(アメリカはロードぎわに各家庭の郵便受けが立っていて、道路際ギリギリを走ると当たることがある)。

 

■補給

レースは満腹で出ても空腹で出ても上手く行きません。ちょうどレースを走り切った時にお腹がすくぐらいに逆算して食事と補給を摂る必要があります。レースの日の食事を記録して調整して行きましょう。
起床時からレースまでの食事をスマホに録って記録し改善を図るのも良い方法です。

 

レース前のトレーニング例:マイクロバースト 1h5m

(レース週の水曜日あたりに行うのがお勧めです)

 

Gen Kogure PCG-Japan

 

WU:10-15分エンデュランスペース(Power Z2,HR Z2,RPE2-3)で行い、間に3 x 1分の高回転走を入れて足を目覚めさせよう。

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MS1:SST 1 x 20分

20分のスイートスポット(PowerZ4 88-94%FTP)。

集団で脚を貯めるイメージで。スムーズなペダリングを意識し脚を使わずに高いパワーを維持しよう。

5分流し


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MS2:マイクロバースト 2 x 10分

15秒ON-15秒OFFの繰り返しを10分間!

ON:150% of FTP(Power Z6,HR Z6,RPE>7)

OFF:50% of FTP(Power Z1,HR Z1,RPE<2)

レストは5分

地形:次のレースに近い地形

ケイデンス: 自由

苦しい練習だがレースでのコースからの立ち上がり、小さなアップダウンに対応する能力を必ず向上させる。高い集中力を要するので必ずクルマや人の居ないところで行おう。インターバルタイマーのついた時計やスマホがあれば活用しよう。もし150% 以上出せるなら、150%以上で!コーナーの立ち上がり、集団内でのリズムの変化、アタック合戦をイメージしながら行おう!

 

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CD:10分アクティブリカバリーレベルで(Power Z1, HR Z1, RPE <2)。

 

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次回は実際のレースについて書いてみたいと思います。<了>

 

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クライアント募集

この度、Peaks Coaching Group Japanのゲン・コグレ コーチがクライアントを若干名募集します。あなたもコーチングを受けて新たなバイクライフを送ってみませんか?ご興味のある方は、Peaks Coaching Group Japan 代表である中田尚志コーチ宛にメールにてご連絡をお願い致します。

E-Mail:takashi◆peakscoachinggroup.com

(注:SPAM対策のため、@ を ◆ に変えてあります)

1.募集内容

  • 募集人数:若干名
  • コーチングレベル:シルバー
  • 費用:$260/月≒29,518円/月(JPY113.53で計算)
  • お支払い方法:クレジットカードにてドル払い

2.コーチング開始までの流れ

  • オンラインミーティング(skypeと同様の物です)にて、コーチングについて説明
  • 2週間の無料トライアルを受けて頂きます
  • 本契約もしくはトライアル終了をご判断いただきます
  • 本契約後、課金開始

3.ゲン・コグレ コーチについて

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Peaks Coaching Group Japan所属のコーチ。カリフォルニア大学バークレー校卒。アメリカ・ノースカロライナ州在住。1988年、カリフォルニア在住時に自転車に魅せられ競技を開始。日本、アメリカ、スイスで豊富なレース経験がある(全日本選手権ロード11位、おきなわチャンピオンクラス200㎞8位、アメリカのPro/1/2、スイス1勝)。自身が高いレベルで競技をしながら、実弟のカンをカリフォルニア州チャンピオンに育てあげるなど、コーチとしての素養を早くから発揮していた。両親は日本人で、日本語会話はネイティブレベル。

 

■寄稿者:中田尚志コーチPeaks Coaching Group Japan

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Peaks Coaching Group Japan 代表。Peaks Coaching Group エリートレベル認定コーチ。2013年全米自転車競技連盟パワートレーニングセミナーを修了。2015年にトレーニングピークスユニバーシティを受講し、最先端のパワートレーニングを学ぶ。現在までに15,000以上のパワーデータを解析。2016年から京都を拠点に、パワーベースのコーチングを日本で展開する。自身も日本・アメリカでレース経験を持つレーサーでもある。

 

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