心拍数 ヒート・ストレス・インデックス
前回、カーディアック・ドリフトについて紹介したが、実際にどの程度の体内の水分が失われたら、どの程度心拍数が上がるのだろうか。今回は『SERIOUS CYCLING Second Edition』を参考に、この関係についてのおおまかな指標である「心拍数 ヒート・ストレス・インデックス」を紹介する。
心拍数 ヒート・ストレス・インデックス
■体重によって体重減少幅(水分損失量)のインパクトは違う
体格が大きいと(体重が重いと)その分だけ体内の水分量が多いと考えられる。つまり同じ0.5㎏体重が減少したとしても(体内の水分量が減ったとしても)、体重50㎏の選手と70㎏の選手ではインパクトが違い、体重50㎏の選手のほうがより大きな影響を受けるだろう。そこで運動開始時の体重別に、体重減少幅がどの程度心拍上昇につながるかのおおよその目安を示したものが、以下の「心拍数 ヒート・ストレス・インデックス」だ。
■表の見方の具体例
例えば、練習開始時に体重が59.0㎏だった選手が、250Wを20分維持するインターバル×2本に取り組んだ場合を考えてみよう。開始当初の心拍数が150bpmだったものの、2本目の途中に心拍数をチェックしたところ、同じ250Wを維持しているにも関わらず162bpm(開始当初比:+12bpm)まで上昇していたとする。この場合、上記インデックスを参考にすると「この選手は練習中の水分補給が足りず、発汗により体重が0.9㎏程度減少したのではないか」と推定できる。
■暑い中での練習中に水分補給が足りているかのチェックに活用できる
このインデックスを使えば、暑さによる水分損失が心拍数にどれほど大きく影響するかのおおよそのイメージがつかめるだろう。具体的な活用方法としては、練習開始当初よりもある一定のパワーを保つのに必要な心拍数がかなり上がっている場合に、「これは水分補給が不足しているな。次のコンビニで少なくとも500㏄はドリンクを飲もう」といった判断する、といったことが考えられる。
■大まかな目安として考える
ただし実際には、気温・湿度・運動強度・体力レベルなどによっても心拍数の上昇幅は変わると考えられる。上記インデックスは、あくまで目安として考えたほうが無難だろう。
参考文献
Edmund R. Burke, PhD著・『SERIOUS CYCLING Second Edition』・P144~145・HUMAN KINETICS