エコノミーを高めるローラー用・練習メニュー
『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE』によると、エリート・サイクリストはホビー・レーサーと比べて「ある一定の最大下のスピードを維持する時の酸素消費量が少ない」という。自動車に例えるならば、エリート選手の方が「燃費がよく、エコノミー(経済性)にすぐれる」というわけだ。このエコノミーを改善する方法のひとつは、ペダリング・スキルの改善だ。今回は『WORKOUTS -IN A BINDER- For Indoor Cycling』を参考に「エコノミーを高めるローラー用・練習メニュー」を紹介する。■この記事は、旧サイトからの移行分です(2012.02.13の記事です)■
エコノミーを高めるローラ用・練習メニュー
所要時間は62分程度と比較的短く、低めの負荷でペダリング・スキルを磨くのに集中する内容なので、平日の軽めの練習の日に行うとよいだろう。
■ウォーミングアップ:17分
5分間軽く足を回す。次に1分間ずつ右足→両足→左足→両足の順で計4分間ペダリングし(これを1セットとする)、合計3セット(計12分)行う。
■メインメニュー:40分
CP180*(3時間維持できる最大のパワー)で10分間×3本、以下2点を意識してインターバルを行う。インターバル間には5分間の回復走を挟む。
下死点から引き足を使って上死点を超えるまで勢いを維持する。
上下させるのではなく、水平にペダリングするイメージで行う(足の裏を靴のソールに触れさせないようにするかのようなイメージ)。
*CP180の調べ方
- GoldenCheetahなどのパワー・データ分析ソフトで180分のベスト・パワーを確認する。
- 簡便法としては、CP60(=FTP)から7.5%引いた数字(FTPの92.5%)を目安にするという方法もある。
■クールダウン:5分
5分間楽に流してクールダウンをして終了する。
下死点で確実に無駄に消費されるエネルギーをなくす
この練習の重要なポイントは、いくら踏んでも推進力につながらない「下死点で真下にかかる力」をなくすことだろう。下死点で「ペダルをしっかり踏んでいる感触」が残っている場合は、その分毎回少しずつエネルギーをロスしている可能性がある。引き足を使うことの是非についてはひじょうに議論が多いポイントだが、「下死点で確実に無駄に消費されるエネルギーをなくすために引き足を意識する」というアプローチは、「エコノミーを高める」という意味で試してみる価値があると思われる。
参考文献
- Dirk Friel & Wes Hobson・『WORKOUTS -IN A BINDER- For Indoor Cycling』・P8, 9, 45・velopress
- Joe Friel著・『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE』・P30・velopress