『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』速報レビュー
国内外でロード・レーサーとして活躍し、現在は宇都宮ブリッツェンの監督を務め、TV解説者としても人気の栗村修さんによる、ロード・レース教本『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』の速報レビューです。
速報レビュー
■特徴
ロード・レースの結果にはさまざまな要因が絡みますが、体力以外の部分も含めて、レースでいかに「速く・楽に・うまく走り、よい結果を残すために役立つヒントやコツ」が、多数紹介されています。
トレーニング方法は、各自が自分の目的達成のために最適なものを取捨選別していくべきもので、「トレーニング方法に正解はない(P26)」との視点に立ち、それに役立つ豊富なヒントが多数掲載されています。
対象は、真剣にロード・レースのトレーニングに取り組んでいる中級の選手といったイメージです。
■特におすすめの章
モチベーション・トレーニング方法・テクニック~機材まで、カバー範囲はかなり広いですが、他の日本人著書によるロード・バイク教本*と比べて、特に参考になるのは、以下の2章ではないかと思います。
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Part3 バイクを乗りこなすためのポジショニングとフォーム (P40~70)
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Part4 ライバルに差をつけるテクニック(P71~126)
*『バイシクルトレーニングブック』『自転車競技のためのフィロソフィー』『バイシクルライディングブック』を念頭に置いています。
ペダリング・ポジション・レース中の動き方などについては、ご自身の国内外でのトレーニングやレース経験を踏まえた、「レースで結果を残すための、ひじょうに実践的で具体的なスキル・手法」が紹介されています。
ページ数は207と比較的コンパクトで、イラストや図表が多数で、軽めの文体であることもあり、比較的すぐ読み切れると思います。
■このような方におすすめ
体力面以外も含めて「ロード・レーサーとしての総合的な競技力」を高めていいきたいと考えている方に、おすすめの一冊です。
注意点
- フィジカルトレーニング(体力向上のための練習)については、比較的あっさりした記述です。
「新たな練習メニューを勉強したい」「最新のトレーニング方法を知りたい」という方には、「肩透かし」「物足りない」と感じられるかも知れません(一方で、宇都宮ブリッツェンの「ゲーム」を取り入れた練習方法や、パワー・トレーニングや心拍数トレーニングを行う際に陥りがちなミスなどについての指摘は、ひじょうに参考になるかと思います)。 - 『自転車競技のためのフィロソフィー』や『バイシクルトレーニングブック』のような、運動生理学的な説明や、科学論文や関連書籍に裏打ちされた記述は見受けられません。その意味では、普遍的な内容というよりは、「栗村修さんが厳しいレースの現場の最前線で体得した知見」に大きく依存した内容ともいえます(とはいうものの、様々な資料と符号する内容が多い印象です)。
- また、パワー・トレーニングの強度がL1~L5の5段階で紹介されていますが、『パワー・トレーニング・バイブル』とは、少しずつずれていますので、その点は注意が必要でしょう。
関連情報
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栗村修監督(宇都宮BLITZEN) |