[ PR ] サイクリストとして知っておきたい、NP(標準化パワー)についての基礎知識 ~どうして平均パワーだけではだめなのか?~ [ sponsored by Pioneer ]
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■「標準化」とは?
パワートレーニングでは、NP(標準化パワー)という専門用語が頻出します。NPは、平均パワーを、走行中の変動の範囲をもとに調整したもので、平均パワーよりも、走行中の強度や代謝コストを正確に反映します。では、「標準化」とはどういう意味なのでしょうか?
データを標準化する場合、1つの項目をほかの項目で割る、という方法があります。たとえば、数名のサイクリストのパワーは、体重で標準化することができます。この場合、パワーを体重で割ります。例を挙げましょう。Aさんは体重180ポンドで、ある走行での平均パワーが210W。この場合、体重で標準化したパワーは、1ポンドにつき1.17Wということになります(210÷180=1.17)。Bさんでも同じ計算をすれば、この値と比較することができます。仮にBさんの体重が120ポンドで平均パワーが150Wだとしたら、体重で標準化したBさんのパワーは、1.25(150÷120=1.25)になります。その結果、AさんはBさんを平均パワーではるかに上回るものの、実際には、Bさんのほうが、体重1ポンドあたりではパワフルだということになります。この関係は、ヒルクライムなど、状況によっては大きな意味を持つようになります。標準化とは、こういうことなのです。
■平均パワーには走行中のエネルギーの変動が反映されない
NPは、走行中のパワーの変動範囲を、平均パワーと比較します。ですから、「標準化」という言葉を聞いたときに、検討する変数が変わったことがわかります。それでは、この概念について、理解を深めましょう。
今までに走行中のパワーグラフをダウンロードして見たことがあるでしょうか。でしたら、乱高下している部分がいくつもあることに気づくことでしょう。これを同じ走行時の心拍グラフと比較すれば、その心拍数がパワーほど上下動していないことがわかります。なぜなら、パワー出力には非常に幅があり、パワーメーターはその変化を敏感に検知するいっぽう、心拍数には大きな変動がまったくないからです。もしあなたがマシンならば、パワーでさえも一定の出力になるように、設計することができるでしょう。しかし、あなたは人間です。そして人間の消費するエネルギーは、頻繁に上下動するのです。パワーが急上昇しているときは常に、まったく乱高下のない完全な一定強度の走行よりも、エネルギーを消費しています。平均パワーには、この何分間かの変動、延いてはペダルに加わったエネルギーの変動は反映されません。しかしNPにはこれが反映されるのです。
■NPを見れば走行中のエネルギーコストが格段に正確にわかる
NPという概念は、パワーメーターを使ったトレーニングには欠かせません。なぜなら、NPは走行中の変動も反映するため、本当の意味での運動努力を示すからです。実際に私が走行したときの例を2つ紹介します。
わりと最近のことですが、1時間だけ練習する時間ができました。これがどれだけ貴重な時間であるかは、おわかりでしょう。さまざまな職務をやりくりして、自転車に乗る時間ができたら、なんとか練習を詰め込まなければなりません。私はたまたま標高1マイルの山の上に住んでいて、勾配5%ほどの道がありました。私がこの短い時間に行った練習は、1時間のヒルリピートです。上りはきつい強度で走行し、頂上に至るまで何回か、短く急激なペースアップをしました。頂上に到達すると向きを変え、ペダリングなしの惰性走行で戻ります。1時間後の平均パワーは141Wでした。次の日、私はこのハードな練習のためにいくらか疲れていたので、中程度の一定強度でフラットなコースを走ることにしました。面白いことに、その日も平均パワーは141Wでした。この2つの練習に少しでも共通することは、平均パワー以外にはありませんでした。坂の上り下りでは、1時間あたりのカロリーを、一定強度の走行よりもはるかに多く消費しました。そして、NPにはこの違いが表れました。ヒルクライムの練習では176W、そして中程度の強度の走行では、149Wだったのです。比較する要素が平均パワーだけであったら、この2つの練習の強度と代謝コストは同じと判断するところでしょう。しかしこれは明らかに間違いです。そしてそれを教えてくれたのがNPだったのです。
NPが本当に教えてくれるのは、その練習が実際にどういう「感じ」だったのか、ということであり、走行中の平均パワーだけを測定するよりも、トレーニングの要素として断然明確です。上に紹介した例では、ヒルリピートのほうが、一定した中程度強度の練習よりずっときつく感じられました。そしてNPには、平均パワーには反映されない、その違いが表れていました。NPを見れば、走行中のエネルギーコストも格段に正確にわかります。上り坂で急激にペースアップをしているあいだは、一定強度の走行よりもはるかに多くのカロリーを消費します。ですから走行中とその後の分析では、ほとんどの場合、NPを使うのです。
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- 参考文献:ジョー・フリール著・篠原美穂訳・『パワートレーニング・ハンドブック(仮題・2018年発売予定)』(OVERLANDER株式会社)・本文の抜粋
※本件記事用に、本文を一部加筆修正しています。