サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.7 一流選手の資質:「能力」自転車競技のトップ・レベルの選手の身体的特徴

【立ち読み版】2012年8月14日 07:47

一流選手の資質:「能力」

■遺伝とスポーツでの成功の関係

遺伝がスポーツでの成功に大きく関係していることは否定できない事実です。その関係がわかりやすいスポーツもあります。例えば、バスケットボール選手のほとんどは長身であり、相撲の力士は大きな体つきをしています。競馬のジョッキーはおしなべて小柄であり、水泳選手は長い腕をしています。このようなスポーツ選手は、そのスポーツで成功するために必要な身体的特徴の少なくとも1つを、生まれつき持っていると言えます。

■自転車競技のトップ・レベルの選手の身体的特徴

自転車競技のトップ・レベルの選手たちに共通する身体特徴は何でしょうか。もっとも明らかなのは、強くたくましい脚と、優れた有酸素能力(VO2max)です。これに対し、肺活量、身体の大きさ、筋力など、他の身体的特徴は、他の競技の選手とと比べて特に大きな違いはありません。

乳酸閾値(LT値)とエコノミーも、自転車選手のパフォーマンスに大きく影響します。

■パワー・LT値・エコノミーはトレーニングで向上させることができる

パワーやLT値、エコノミーは、体格や腕の長さなどの生まれつきの要素とは異なり、トレーニングで向上させることができます。ただし、これらもある程度、遺伝的に決定されます。

 

※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■

 

著者紹介

ジョー・フリールジョー・フリール

ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。

本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。

『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。

フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。

 

訳者紹介

児島 修

1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。