サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.10 一流選手の資質:「動機(モチベーション)」2
一流選手の資質:「動機(モチベーション)」2
■良い結果を出すことは「ゴール」でなく「通過点」
サイクリングを始めた時期や、競技や練習にかける情熱の程度にかかわらず、大切にすべき考え方があります。それは、スポーツでよい結果を出すことを「ゴール」ではなく「通過点」と見なすというものです。
■自転車競技の世界には「悟りの境地」は存在しない
おそらく私たちは、モチベーションを高く持っている人が心に描いているような、完全に満足できるパフォーマンスには決して到達できません。自転車競技の世界には、そこに至れば初めて脚を休めることができるような、悟りの境地は存在しないのです。強迫神経症的なトレーニングは、悪影響を及ぼすだけです。このことを理解し、長期的な視野でトレーニングにアプローチすれば、オーバートレーニングによる極度の疲労や精神的な燃え尽き、それによって生じる様々な弊害に陥らずに済みます。そして、一貫した適切なトレーニングによって、競技でのパフォーマンスを高められるのです。また、やむを得ない事情で壁にぶつかったときも、必要以上の落ち込みやフラストレーションに苦しむことがなくなります。
■「生涯を通じて取り組む価値のあるスポーツ」としてのサイクリング
体力の向上、健康の増進、楽しい時間、素晴らしい仲間たち――。サイクリングは、私たちに様々なものをもたらしてくれます。これは、生涯を通じて取り組む価値のあるスポーツです。決して打ち負かし、征服すべき〝敵〟のようなものではないのです。
※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■
著者紹介
ジョー・フリール
ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。
本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。
『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。
フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。
訳者紹介
児島 修
1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。