サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.31 「トレーニング十則」 一、適度なトレーニングを心がける(1)毎回、限界まで追い込まない
「トレーニング十則」
■トレーニング理念を実践するための指針
前述したトレーニング理念を良く理解していたただけるよう、10項目の指針から成る「トレーニング十則」を作成しました。この指針を日頃の考えや実際のトレーニングに取り入れることで、トレーニング理念を実践でき、労力に対して大きな見返りが得られるようになるでしょう。効果は、年齢や経験に関係なく期待できます。
一、適度なトレーニングを心がける(1)
■毎回、限界まで追い込まない
持久力、スピード、体力には限界があります。毎回、限界まで練習すべきではありません。通常は、限界の範囲内でトレーニングを終えるようにします。
「もう少しできそうだ」と思える程度で止めるのです。予定より早めに練習を切り上げても構いません。毎日、疲れ切るまでトレーニングをしないようにします。
■トレーニングの一貫性を維持できなくなるリスク
筋肉は一定の回数、力強く収縮すると限界に達します。体内に蓄積された糖質エネルギーであるグリコーゲンが不足し始めると、意志の力だけでは身体を動かせなくなり、ペースを落とさざるを得なくなります。
このような限界を長期にわたって頻繁に経験すると、身体の適応能力を超え、回復が大幅に遅れて、トレーニングの一貫性を維持しにくくなります。
※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■
著者紹介
ジョー・フリール
ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。
本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。
『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。
フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。
訳者紹介
児島 修
1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。