サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.63 生理学と身体能力 有酸素性作業閾値(Aerobic Threshold)(2)

【立ち読み版】2012年12月17日 06:30

生理学と身体能力 有酸素性作業閾値(Aerobic Threshold)(2)

■休養状態でも変化する

また有酸素性作業閾値は、しっかりと休養をとったかどうかで、日によっても変化します。

LTと同様、有酸素性作業閾値でも、フレッシュなときは、疲れているときよりも大きなパワーを出せます。

■疲労の程度に注意を払うことも大切

LTでの運動強度はかなり高いので、心拍数が相当に高くなる前に「疲労によって自然に運動強度を下げさせよう」とする働きが生じます。

しかし、運動強度の低い有酸素性作業閾値の場合はそうはなりません。有酸素性作業閾値内でのトレーニングでは、モチベーションが高いと、疲れていてもさらに追い込もうとしてしまう場合もあります。

このため有酸素性作業閾値では、心拍計やパワーメーターに注目するのと同じように、疲労の程度にも意識を向けることが大切です。

■有酸素持久力の土台作りに最適の強度

有酸素性作業閾値ゾーンでのトレーニングは、基礎期間で重要になる「有酸素持久力の土台作り」に最適です。基礎期間のトレーニングでは毎週、有酸素性作業閾値でのメニューにを多く取り組むようにします。

 

※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■

 

著者紹介

ジョー・フリールジョー・フリール

ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。

本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。

『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。

フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。

 

訳者紹介

児島 修

1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。