サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.75 疲労の原因 筋肉疲労

【立ち読み版】2013年1月7日 06:30

筋肉疲労

■化学的な問題や中枢神経の防御機構の影響という説

長く厳しいレースの終盤で、なぜサイクリストの筋肉が収縮できなくなるかについては、まだ科学でも解明されていません。神経と筋肉の接点で生じる化学的な問題が関係しているという説や、筋肉の損傷を早めに防ごうとする中枢神経の防御機構が影響しているという説などがあります。

■高強度トレーニングの効果

高強度トレーニングでは、神経系を鍛えることで多くの筋肉を持久系の運動に動員できるようになるので、筋肉疲労への抵抗力を高める効果があります。

インターバル・トレーニングなどの高強度トレーニングでは、低速でのロングライドなどのほとんど遅筋線維しか使わない練習に比べ、速筋線維も多く使われます。

速筋線維は、遅筋線維だけでは対処しきれなくなるほど強度が高まるまでは必要とされません。インターバル・トレーニングなどの基本的に持久力を要する運動の最中に、遅筋線維をサポートするために速筋繊維も動員されることで、速筋線維は遅筋線維の特性を持つようになります。これは持久系スポーツのアスリートにとって、ひじょうに大きな意味を持ちます。

 

※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■

 

著者紹介

ジョー・フリールジョー・フリール

ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。

本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。

『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。

フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。

 

訳者紹介

児島 修

1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。