サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.77 トレーニングの原則 個別性の原則(2)

【立ち読み版】2013年1月9日 06:30

個別性の原則(2)

■体の反応の「速い」「遅い」の違い

さらに、アスリートには反応の「速い」人もいれば「遅い」人もいます。チームメイトとまったく同じ内容のトレーニングをしていても、レースまでに同じレベルの体力に達するかどうかはわかりません。

この違いは遺伝的要素によるものが大きく、それによってどの程度の速さで負荷に反応するかが決まります。

■反応速度は各人で違うが、自分の特性に合った練習計画の立案は可能

通常、トレーニングではっきりした成果を出すには4~8週間は必要です。体の反応速度は変えられませんが、自分の特性に合ったトレーニング・プログラムの立てることは可能です。

つまり、人と同じことをしても、同じ結果が得られるとは限らないということです。ほとんど効果が得られないことすらあります。

あるライダーにとっては軽い練習でも、他のライダーにとってはレース並に厳しい練習になることもあります。5章と6章では、自分の能力に合わせたトレーニングについて説明します。

 

※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■

 

著者紹介

ジョー・フリールジョー・フリール

ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。

本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。

『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。

フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。

 

訳者紹介

児島 修

1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。